1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10480175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋口 秀男 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90165093)
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Keywords | キネシン / 1分子 / 振動 |
Research Abstract |
牛の脳より精製したキネシンを1μmのビーズに1個の割合で結合させ,このビーズをレーザートラップし,微小管と相互作用させた.相互作用しているキネシンを振動するために,レーザートラップの中心の位置を非対称に振動させた.このときのビーズの中心の位置を4分割光センサーでnm計測した.その結果,1mMATP存在下で振動(振幅30-50nmのノコギリ波)を加えても,運動速度や発生力に顕著な差が見られなかった.10μMATPに1mMA DPを加えて振動を行うと,キネシンが微小管から解離する速度が,振動がないときよりも速くなった.これは微小管から解離しやすいキネシンのADP結合状態に振動が影響を与えたためであろう.さらにATPを入れずに,10μMADPのみの液中では,振動を行ったところATPがないにもかかわずキネシンは連続的に動いた.もしかすると,ADP中にATPが混在していた可能性があるので,同一の条件で,振動を行わない時にキネシンが動くかどうかを調べたところ,キネシンは全く動かないことを確認した.さらに,振動の形を,正弦波,矩形波,三角波と変えたが,キネシンの動きはあまり影響を受けなかった.これらの結果からキネシンのADP結合状態における微小管からの結合・解離速度が力に依存することがしさされた.また,ATPなしでも,力学的なエネルギーによって,キネシンの運動が可能であることが示された.今後は,ATP濃度や振動の振幅を変えて,同様な実験を行う予定である.
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