2000 Fiscal Year Annual Research Report
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10480213
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Research Institution | INSTITUTE FOR PHYSICAL AND CHEMICAL RESEARCH (RIKEN) |
Principal Investigator |
小川 正晴 理化学研究所, 細胞培養技術開発チーム, チームリーダー(研究職) (50111951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲嶋 一範 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90280734)
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Keywords | 脳皮質 / 層構造 / 細胞移動 / リーリンシグナルカスケード / リーラー / Cdk5 / ニューロン産生 |
Research Abstract |
大脳皮質では錐体ニューロンが、タイプごとに、表層に並行して脳室側へと、規則的に配列されている。皮質錐体ニューロンは決められた時間帯に脳室壁に誕生し、ついで表層側へと放射状に移動し、最後に適切な位置に配列されてくる。ニューロン誕生の機構、移動の機構、あるいは最終配列の機構について、その分的基盤を明らかにしていくことが本研究の目的である。これまでにCajal-Retzius細胞などから一過性に分泌されるリーリン分子が、ニューロンの最終配列に重要に関係していることを明らかにしてきた。本年度に達成した主な知見として、(1)胎生期のX線照射による小脳のプルキンエ細胞の配列異常が、顆粒細胞から一過性に分泌されるリーリン分子の発現異常によること。(2)皮質構築に関わるReelin-Dab1シグナルとp35/cdk5シグナルの関連をそれぞれのミュータントマウス、ダブルミュータント等を使って検索した。その結果、それぞれのシグナルが加算的に関係し、それぞれのシグナルの欠損に基ずく表原型をもつミュータントマウスが作られてくることを明らかにした。このことは、皮質構築にp35/cdk5シグナルとReelin-Dab1シグナルが独立に共同して関係していることを示唆している。(3)リーリン分子は大きな分子(約390kD)であるが、細胞外での存在様式、標的細胞の受容体との結合様式については不明であった。この分子が細胞外液中ではポリマーを形成し、βシート状の構造をとることを明らかにし、ポリーマー体で受容体に結合する可能性を示した。(4)リーラーミュータントマウスでは交感神経節前線維の局在が異常であるあることを示し、その原因がリーリン分子の欠損によることを明らかにした。(5)発生初期の皮質に発現する遺伝子(例えば、nestin等のプロモーター)にGFPをタグし、これをエレクトロポレーション法で脳室壁細胞に取り込ませた。この手法によって、皮質におけるニューロンの産生と移動の過程を顕微鏡下に可視化できることを明らかにした。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Darmanto,W. et al.: "Derangement of Purkinje cells in the rat cerebellum following prenat al exposure to X-irradiation : decreased Reelin level is a possible"J.Neuropathol.Exp.Neurol.. 59. 251-262 (2000)
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[Publications] Kawaguchi,A. et al.: "Nest in-EGFP trangenic mice : visualization of the self-renewal and mult ipotency of CNS stem cells"Mol.Cell.Neurosci.. (In press).
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[Publications] Ohshima,T. et al.: "Synergistic contributions of Cdk5/p35 and Reelin/Dab1 to the positioning of cortical neurons in the developing mouse brain."Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.. (In press).
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[Publications] Yamada,M. et al.: "Mice lacking the M3 muscarinic acetylcholine receptor are hypophagic and lean."Nature. (In press).
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[Publications] Kojima,T. et al.: "The disabled 1 gene is disrupted by a replacement with L1 fragment in yotari mice"Mol.Brain Res.. 75. 121-127 (2000)
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[Publications] Yip,J.W. et al.: "Reelin controls position of autonomic neurons in the spinal cord"Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.. 97. 8612-8616 (2000)
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[Publications] Utsunomiya-Tate,N., et al: "Reelin molecules assemble together to form a large protein complex, which is inhibited by the function-blocking CR-50 antibody"Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 97. 9729-9734 (2000)
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[Publications] Tabata,H. et al: "Efficient in utero gene transfer system to the developing mouse brains using electroporation-Visualization of neuronal migration in the developing cortex"Neuroscience. (In press).
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[Publications] 先崎浩次 ら: "マウス大脳皮質層構造形成機構における新たな分子メカニズムの解明-CNRファミリーはReelinの多重受容体である-"実験医学. 18. 784-787 (2000)
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[Publications] 仲嶋一範 ら: "大脳・小脳皮質における細胞配列の分子機構"蛋白質・核酸・酵素. 45. 241-247 (2000)
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[Publications] 山田真久 ら: "皮質形成のメカニズム-脳構築を担う液性因子リーリンタンパク質"実験医学. 18. 1276-1282 (2000)
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[Publications] 宮田卓樹 ら: "小脳の発生に関する分子機構:プルキンエ細胞と顆粒神経細胞の大河ドラマ"神経研究の進歩. 44. 965-973 (2000)
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[Publications] 仲嶋一範 ら: "脳神経科学イラストレイテッド(森寿,真鍋俊也,渡辺雅彦,岡野栄之,宮川剛編)"羊土社. 8 (2000)