1998 Fiscal Year Annual Research Report
都市環境下におけるガラスと人間生活との摩擦発生機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
10490011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 広芳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10111486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁平 義明 東北大学, 文学部, 教授 (10007833)
石田 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (90192484)
加藤 和弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60242161)
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Keywords | ハシブトガラス / 彩食 / ゴミ / 餌付 / 環境保全 / 分布 / 個体数 |
Research Abstract |
都会にすむカラスは主にハシブトガラスであり,その食性は雑食性である.したがって,市街地で早朝,生ゴミが散在している状況は,ハシブトガラスにとって格好の採食地となる.早朝に生ゴミが散在している市街地でハシブトガラスの分布を規定する要因を明らかにするために,東京都中央区銀座で1年間,カラスの個体数と生ゴミの数を調査した. その結果,調査地内の各ブロックにおけるカラスの個体数と生ゴミ数は正の相関を示し,ハシブトガラスは機会的にやってきて採食するのではなく,通常の生ゴミの分布を知っていて飛来することが推定された.また,カラスは生ゴミをその都度目で見て多いところに飛来しているのではなく,過去の記憶により生ゴミの多かった場所に集まることが示唆された. 一方,飛来したカラスがどのようにして餌を認識するかを知るために,東京大学緑地植物実験所で餌付け実験を行なった.ハシブトガラスは警戒心が強く,ビニールシートやたき火などの影響を受けて来なくなったり,同じ餌内容であってもビニール袋に入れただけで,ビニール袋を破って中味をとり出さなくなったりした.屋根の上のような高所と地上では,高所あほうが安全なのか,警戒心が弱く,おとずれる回数も多かった. ハシブトガラスがゴミを散らかすのを防ぐためには,ゴミの夜間回収を行なって,早朝,餌となる生ゴミのまったくない状況をつくるのが望ましい.しかし,それが不可能な場合は,適当な周期で,カラスの警戒をうながす状況を作り出すことも効果的なのではないかと考えられる.
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