2000 Fiscal Year Annual Research Report
都市環境下におけるカラスと人間生活との摩擦発生機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
10490011
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
樋口 広芳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10111486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁平 義明 東北大学, 文学部, 教授 (10007833)
石田 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90192484)
加藤 和弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60242161)
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Keywords | カラス / 都市 / 生ゴミ / 停電 / 鳥衝突 |
Research Abstract |
本研究ではまず,都市におけるカラスと人間生活との摩擦の現状について広く調査した.その結果,ゴミの食い散らかし,人への襲撃,高圧鉄塔への営巣による停電,列車や航空機との衝突など,さまざまな種類の摩擦が生じていることが明らかになった.次に,そうした個々の摩擦の事例について,発生の状況や仕組をいろいろな情報収集と野外観察から明らかにした. ゴミの食い散らかしは,カラスが食物として好む生ゴミが手に入りやすい地域を中心に発生していた.具体的には,プラスチック製のゴミ袋に入れられて路上に放置される地域,とくにその状態が朝の遅い時間まで続くところで頻発していた.生ゴミが大量に出され,カラスの食物になることは,カラスの個体数を増加させる根本原因になっており,それがカラスと人間生活とのさまざまな摩擦の発生につながっていることが示唆された.人への襲撃については,5月から6月に集中し,カラスの巣の付近で発生すること,親鳥が巣やヒナを防衛するための行動であることなどが明らかになった.襲撃は人の背後から飛んできて行なわれ,後頭部を足で蹴るという例が多かった.蹴られることによって頭から出血する例もあるが,大部分は大きな怪我には至らない.高圧鉄塔への営巣による停電は,絶縁上必要な距離を保っている,電線と鉄塔の接地部分の間にカラスが造巣したり,はさまったりすることによって発生していた.関東地方では,カラスによる停電事故が毎年40〜50件起きている.列車や航空機との衝突は,時速数100キロの速度で走ってくる新幹線や航空機を鳥がよけきれずに発生していた.空港では,空港が漁港,河口,ゴミの大規模処分場などの付近につくられている場合に衝突が多発していた.そうした場所にカラスなどが数多く生息しているからである.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 長戸理恵,樋口広芳 ほか: "PHSによる野生動物の位置探索"情報処理学会研究報告. 13巻1号. 1-5 (2000)
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[Publications] 樋口広芳: "野生動物の長距離および短距離移動追跡"マイクロメカトロニクス. 44巻2号. 2-8 (2000)
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[Publications] 高崎俊之,樋口広芳 ほか: "PHSを用いた野生動物の位置探索"情報処理学会研究報告. 13巻7号. 49-54 (2000)
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[Publications] Takasaki,T.,Higuchi, ほか: "Wild animal tracking by PHS (Personal Handy Phone System"Proceedings of the International Conference on Machine Automation. ICMA2000. 237-242 (2000)
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[Publications] 樋口広芳,森下英美子: "カラス,どこが悪い!?"小学館. 222 (2000)