1998 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物半導体の薄膜化による高耐久性を有する味センサシステムの開発
Project/Area Number |
10555133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
関 享士郎 岩手大学, 工学部, 教授 (60003860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 洋 岩手大学, 工学部, 助手 (10261463)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 薄膜 / スパッタ法 / センサ / MnZnフェライト / アニーリング / スピネル構造 / 飲料 |
Research Abstract |
本年度は,味センサ素子として使用する遷移金属酸化物の薄膜化に関する技術を検討した.薄膜センサ素子の作製にはスパッタ法を使用した.スパッタ法によりアルミナ基板上に作製された薄膜(as deposited)はターゲットである遷移金属酸化物(Mn_<1-x>Zn_xFe_2O_4)の金属組成比を良好に再現したが,結晶化はおこらなかった.薄膜の電気的特性は結晶構造に大きく影響を受ける.そこで,交付された「遷移金属酸化物半導体作製用焼成装置」を用いて,得られた薄膜にアニーリング処理を施した.アニーリング処理された薄膜は,アニーリング時の条件(温度:500〜1250℃,加熱時間:30〜480分,雰囲気O_2/Ar:0〜20%)を調節することで様々な結晶構造を示した.また,得られた各種の薄膜センサ素子は腐食性溶液等による耐久性試験でも基板からの剥離等の問題は生じなかった. 続いて,得られた薄膜センサ素子を用いて基本味物質や日本酒,お茶などの識別実験をおこなったところ,厚膜センサ素子とは異なる出力パターンを示したものの,それらを識別できることが確認された.これは,薄膜の表面状態(物理的形状および原子や分子の配列等)が厚膜とは異なっているためと思われる.一方,作製された薄膜センサは,厚膜センサに比べて再現性や素子自体の耐久性は向上したが,厚膜センサには不要であった電極部の被覆に関する問題点(長時間試料に浸すと被覆部が劣化する)が生じており現在検討中である. これまでの研究で,味識別用遷移金属酸化物薄膜センサ素子の作製法はおおむね検討されたと考えられる.今後は,上記の問題の解決(被覆材料の検討等)と自動計測システム(ハードおよびソフト)の開発を行っていく予定である。
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