2000 Fiscal Year Annual Research Report
エバネッセンス顕微鏡の開発と開口放出におけるquantal仮説の検証
Project/Area Number |
10557003
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
寺川 進 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 教授 (50014246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 勝行 オリンパス光学, 機器開発部, 研究員
桜井 孝司 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助手 (50283362)
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Keywords | 全反射照明蛍光顕微鏡 / 一分子蛍光 / 開口放出 / ホルモン / 水分泌 / 膜融合 / Clチャネル / 嚢胞性線維症 |
Research Abstract |
誰でもすぐ使えるエバネッセンス顕微鏡を目指して、その照明用光源の導入法を改善すべくいくつかの方式を探った。円錐ミラー方式、断端型ファイバーによるリング照明方式、そして、単一モードファイバー方式を試験したところ、単一モードファイバー式が照明視野の広さや位置の調節において最も優れていた。実際、この方式がメーカーに採用され、日独の2社より一体型のエバネッセンス顕微鏡として市販されるに至った。 エバネッセンス法を用いて、クロマフィン細胞やβ細胞の開口放出の動態を調べた。その結果、クロマフィン細胞では分泌顆粒からの放出に際しては、その内容物は単に拡散で外に出るのでなく、顆粒から同時に噴出する水に乗って勢い良く外にでることが分かった。この水流の強さは顆粒膜に在るClチャネルの密度で決まり、抗体法によって観察したチャネル密度は顆粒によって大きくばらついていることが示された。また、このClチャネルの機能を低下させる薬物があることが分かった。これらのことより、顆粒ごとにその内容量が異なることに加えて、その放出の強さも大きく異なっていることが明らかになった。さらに、β細胞においては、顆粒からの放出直後にも、顆粒は細胞膜に結合したまま横方向に移動することが明らかになった。これにより、顆粒内容は完全に最後まで出されずに顆粒内に残って顆粒のリサイクルによって再充填されることが示唆された。以上の結果を、すでに観察した共焦点顕微鏡による顆粒蛍光の段階的な減少の観察結果と合わせると、少なくとも内分泌系の細胞では、開口放出に際しての信号物質の放出は量子的には起こっていないことが結論され、神経系で唱えられているquantal仮説はこれらの細胞では成り立たず、より高い次元の調節作用が存在することが結論された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tsuboi T: "Supply of secretory granule to the plasma membrane enhanced by protein kinase C in the bovine chromaffin cell."Biochemistry and Biophyscs Research Commununications.. (印刷中). (2001)
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[Publications] Naito K: "Calicheamicin-conjugated humanized anti-CD33 monoclonal antibody (gemtuzumab zogamicin. CMA-676) shows cytocidal effect on CD33-positive leukemia cell lines."Leukemia. 14. 1436-1443 (2000)
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[Publications] Kawano Y: "High numerical aperture objective lenses and optical system improved objective type total internal reflection fluorescence microscopy."Procedings of SPIE. 4098. 142-151 (2000)
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[Publications] Tsuboi T: "Simultaneous evanescent wave imaging of insulin vesicle membrane and cargo during a single exocytotic event."Current Biology. 10. 1307-1310 (2000)
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[Publications] Ishihara Y: "Exocytosis in the dissociated pancreatic acinar cells of the guinea pig directly visualized by VEC-DIC microscopy."Biochemistry and Biophyscs Research Communincations. 277. 134-137 (2001)
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[Publications] Ishihara Y: "Exocytosis and movement of zymogen granules observed by VEC-DIC microscopy in the pancreatic tissue en bloc."American Journal of Physiology. 279. C1177-C1188 (2000)
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[Publications] Sakurai T: "Superoxide production in the islet of Langerhans. In : Ultrastructure and molecular biology protocols for oxidants and antioxidants (ed.D.Armstrong)"Academic Press 印刷中. (2001)