2000 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス応答の中枢機序における脳内肥満細胞の意義
Project/Area Number |
10557008
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片渕 俊彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80177401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八坂 敏一 九州大学, 大学院・医学研究院, 特別研究員
武 幸子 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80253425)
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Keywords | 肥満細胞増殖因子 / c-kit mRNA / リアルタイムPCR / テタヌス刺激 / 海馬スライス / 隔離ストレス |
Research Abstract |
c-kit受容体チロシンキナーゼのWs/Wsミュータントラットでは、空間認知学習の障害、および苔状線維-CA3回路における長期増強(LTP)やpaired-pulse facilitation(PPF)の異常あることを、平成10年度に報告し、平成11度は、c-kitのリガンドであるstem cell factor(SCF)を、正常マウスの海馬スライス切片に投与すると、PPFが修飾を受け、その機序として、c-kitチロシンキナーゼの活性化に続くPI3′キナーゼ、およびフォスフォリパーゼA2の賦活化によるアラキドン酸の産生が関与していることを明らかにした。本年度は、マウス海馬におけるSCFおよびc-kit mRNAのテタヌス刺激による発現動態の解析、および社会的ストレスとしての隔離ストレスにおけるSCFのmRNA動態について検討した。 マウスの海馬スライス標本において、テタヌス刺激によるLTPを確認し、海馬内のSCF、c-kit、およびハウスキーピング遺伝子としてGAPDHのmRNAを、リアルタイム・キャピラリーPCR法を用いて定量した。その結果、テタヌス刺激後のSCF mRNAは、コントロールスライスと比較して約1/5以下に減少し(P<0.01)、c-kit mRNAもテタヌスによって、有意差はなかったがコントロール群の約半分に減少するなど、テタヌス刺激によって発現が修飾されることが明らかになった。また、4週令のBALB/cマウスを一匹ずつ飼育し、8週間の隔離ストレスを与え、その後、大脳皮質のc-kitのmRNAを、同様にリアルタイム・キャピラリーPCR法を用いて測定したところ、グループで飼育したコントロール群と比較して、有意にc-kit mRNAが低下していた。ストレスによって発現が修飾される機序として、グルココルチコイドが考えられるが、詳細については、さらに検討する必要があると考えられる。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Katafuchi,T. et al.: "Impairment of spatial learning and hippocampal synaptic potentiation in c-kit mutant rats."Learning & Memory. 7. 383-392 (2000)
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[Publications] Hori,T.: "Evidence for th einvolvement of AV3V in the circulating IL-β-to-brain communication."Journal of Thermal Biology. 25. 29-33 (2000)
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[Publications] 片渕俊彦: "ストレスとサイトカイン."医学のあゆみ. 別冊. 107-111 (2000)
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[Publications] 片渕俊彦: "神経・内分泌・免疫系連関とストレス応答"日本皮膚アレルギー学会雑誌. 8(3). 56-61 (2000)
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[Publications] 片渕俊彦: "免疫機能と脳"日本ME学会雑誌. 14(11). 65-72 (2000)
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[Publications] 片渕俊彦: "ストレスと免疫応答"臨床検査. 45(2). 207-212 (2001)
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[Publications] Katafuchi,T. et al.: "Changes in brain cytokine mRNA due to heat stress in aged rats : possible role of bacterial translocation."Progress in Biometeorology. (印刷中). (2001)
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[Publications] 堀哲郎,片渕俊彦: "IL-6"Clincal Neuroscience. 19(6)(印刷中). (2001)
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[Publications] Hori,T. et al.: "Psychoneuroimmunology"Academic Press. 727 (2001)
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[Publications] Katafuchi,T. et al.: "Thermotherapy for Neoplasia, Inflammation and Pain"Springer-Verlag Tokyo Inc.. 550 (2001)
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[Publications] Hori,T. et al.: "Thermotherapy for Neoplasia, Inflammation and Pain"Springer-Verlag Tokyo Inc.. 550 (2001)