1999 Fiscal Year Annual Research Report
考古遺跡から出土する炭化米の遺伝情報の1次資料化とデータベースモデルの開発
Project/Area Number |
10558007
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平岡 洋一郎 (佐藤 洋一郎) 静岡大学, 農学部, 助教授 (20145113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工楽 善通 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター長 (00000472)
岡村 道雄 文化庁, 文化財保護部, 主任文化財調査官
中村 郁郎 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (50207867)
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Keywords | 炭化米 / 佐藤敏也 / ジャポニカ / DNA / データベース / 古代 |
Research Abstract |
今年度もひきつづきデータの整理と一部種子の整理を行った。佐藤博士によって鑑定された種子は総数で100万におよぶことがわかった。今年度はこのデータベース化の1次資料つくりに重点を置いた。写真撮影をあわせて行い、画像データも蓄積することとし、その作業にとりかかった。 分析の予備調査で明らかになったことは次の通りである。 (1)種子の大きさの分析では、古代の稲種子のばらつきが極めて大きかったことがわかった。そのばらつきの大きさは、1つの遺跡から出土した種子群でさえ現在の日本のすべての品種におけるばらつきを越える程度であった。(2)平行して行ったDNA分析では、水田の遺構から出土した種子のなかにも陸稲的性質が強い熱帯ジャポニカが検出された。この事実は日本の弥生時代の成立、水田稲作の発展過程にかんする従来の定説を大きく書きかえる可能性をはらむものである。(3)籾のついた種子も多数残されている。これらの分析の結果、当時のげをもっていた品種がおおかったらしいことがあきらかになった。こうした諸事実は日本には縄文時代から稲作があったこと、弥生時代の稲作がその延長にあったこと、などを示唆している。来年度はこれをうけて、DNA分析を本格化するとともに、写真撮影(デジタル情報とする予定である)を完了させたいと考えている。DNA分析ではとくに熱帯ジャポニカと温帯ジャポニカの区別に力点をおくとともに、最近になって各地の遺跡から発掘されている種子との比較なども行いたいと考えている。
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