1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610035
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Research Institution | Hiroshima Prefectural College of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡本 珠代 広島県立保健福祉短期大学, 作業療法学科, 教授 (60280202)
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Keywords | インフォームド・コンセント / 法理 / 倫理理念 / 保健・医療従事者 / 患者(クライエント) / 臨床・実験医療 / 医による危害 / アカウンタビリティー |
Research Abstract |
本インフォームド・コンセント(以下IC)の研究の当初の研究目的と計画は次の通りである。1)IC概念の理論と実践の歴史と展望 2)関連医療職の倫理におけるIC 3)日本におけるIC実践の実証的研究調査 4)IC関連文献のデータベース化。このうち、4)については、The Hastings Center Reportが1999年1-2月号において要約付きで1997年までのICの実証的研究377篇を掲げている。因みにMedline収録のIC論文は1999年1年間だけで723篇あり、IC説明過程における患者の理解度や同意書の読みやすさに関する実証的研究が散見される。3)に関しては、日本のがん告知に関するアンケート調査の先行研究が告知率について20-100%の幅のある未だ不確定な数値を出している。図らずも私自身平成11年4月に直腸がんで地方総合病院で手術を受けたので、IC法理が一般的にいかに解釈されているかを実体験する羽目になった。一症例ではあるが、威圧的な同意書や医師の実験医療的な姿勢を問題視する視点を得たので、学会や講演会で発表した。2)に関しては、本学倫理研究会発行の『医療・保健専門職の倫理テキスト-悩める医療スタッフと学生のための事例集』(医療科学社)の中で第一章の医療倫理の部分の執筆を担当し、また関連医療職の倫理綱領に関する論文の筆頭著者になった。このテーマについての研究と発表は継続して行う予定である。最後に、私の主要関心テーマは1)にある。ICを人権と民主主義の概念として捉え、IC概念の背景にあるデューイの民主主義論を大正デモクラシーにからめて論じ、IC法理と倫理理念を峻別し、生命倫理におけるクローン人間作製や実験医療における危害、アカウンタビリティーの問題に焦点をあてたIC研究や翻訳を行った。これらの研究を深めて、著書として出版することが近い将来の計画である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 岡本珠代: "クローン人間製造について"比較思想研究. 25. 35-39 (1998)
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[Publications] Tamayo Okamoto: "Universalism vs. Particularism in Biomedical Ethics"Dialogue and Universalism. Vol.VIII No.11-12. 53-60 (1998)
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[Publications] 岡本珠代: "医療専門職倫理綱領についての一考察"広島県立保健福祉短期大学. 4(1). 61-68 (1999)
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[Publications] 岡本珠代: "デューイと大正デモクラシー"比較思想研究. 26. (2000)
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[Publications] Tamayo Okamoto: ""Means and Ends" in Encyclopedia of Violence, Peace & Conflict"Academic Press. 820 (1999)
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[Publications] 砂屋敷忠、吉川ひろみ、岡本珠代: "医療・保健専門職の倫理テキスト-悩める医療スタッフと学生のための事例集"医療科学社. 132 (2000)