2000 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータ支援によるマキャヴェリのデータベース化
Project/Area Number |
10610038
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Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
服部 文彦 大同工業大学, 工学部, 助教授 (20198766)
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Keywords | マキァヴェッリ / マキャヴェリ / アルテ / 戦争 |
Research Abstract |
本年度(平成12年)の研究実施計画に照らしつつ、その実績を以下に箇条書きで記す。 1.テクストおよび日本語翻訳原稿のデジタル化の作業であるが、『君主論』4種類のうち黒田訳(岩波文庫、1935)、佐々木訳(講談社学術文庫、1994)、河島訳(岩波文庫、1998)のOCRによる読み取り作業が完了。原文、日本語訳のデジタル・テクスト上での校正は、"Dell'arte della guerra"と翻訳では浜田訳『戦術論』と服部訳『戦争の技術』にとどまる。 2.当初の計画は原文の段落単位でテクストと和訳の対応づけを図る予定であったが、検索上の便宜そして何よりもテクストと数種の翻訳の比較のしやすさから、原文のセンテンス単位に改め通し番号を付した。ただし、完成部分は"Dell'arte della guerra"、『戦術論』、『戦争の技術』の序と第一巻である。 3.マキァヴェッリ思想における<アルテarte/arti>の位相とその意義に関する考察では、特に"Dell'arte della guerra"の第一巻を対象となし、このワードは作者の<職業倫理>に根強く裏打ちされた独特の用法であることを導いた。引いては本書の内容にふさわしい和訳として『戦争職業論』を提案した。今後はこれまでキーワードとされてきた<ヴィルトゥvirtu'>と<フォルトナ>の他に、この両者をつなぐマキァヴェッリの<アルテarte/arti>に着目しながら政治関連諸著作を読み進めていくことが肝要であろう。また既存の解釈とは様相を異にした彼の思想の変遷も輸郭付けられるのではないかと思われる。 4.上記三著作のテクストからのコンコーダンス作成は未だ作成されていない。 5.本年度は本課題の最終年度のため、研究成果報告書をまとめた。さらにその巻末には、部分であるが、テクストと日本語訳2種類が文章番号に応じて同時に比較対照できるデータベースの試作品をCD-ROMとして準備した。"Dell'arte della guerra"の序と第一巻に限る内容である。
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Research Products
(1 results)