1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610043
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
垣内 幸夫 京都教育大学, 教育学部, 教授 (50117420)
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Keywords | 彦六系 / 文楽系 / 豊澤団平 / 竹本大隅太夫 / 竹本摂津大掾 / 名庭絃阿弥 |
Research Abstract |
平成10年度は六世鶴澤寛治の残した音源資料「鶴澤寛治の芸道生活と意見」を収集(ダビング)し、収録された内容の一部を文字に起こした。その原稿について、八世竹澤團六師とともに音源を聴きながら分析・検討を進めている。その際に、竹澤團六師に文楽三味線の専門的立場からの貴重な助言・指導を頂いた事は、音源資料の内容をより正確に理解するための助けとなった。この音源資料は時間的に長大であり、かつ内容も非常に専門的で高度なため、分析・検討の作業にも多大の時間を要する。平成11年度は、引き続き残った部分を文字に起こし、竹澤團六師の協力を得て分析・検討作業を続行する。 音源資料の内容を裏付けるために、義太夫節関係文献として大正期に発行された雑誌「新演芸」及び昭和期(戦後)に発行された雑誌『幕間』記載の関連記事を収集し、内容の照合作業を進めている。また、東京国立文化財研究所蔵「安原コレクション」の中にある、鶴澤団治郎・六世竹澤團六・三世鶴澤寛治郎(=六世鶴澤寛治)の演奏を収集(ダビング)し、併せて竹澤團六師とともに内容を検討している。 これまで研究を遂行した結果、六世鶴澤寛治の芸歴を正しく把握する必要性を痛感した。そのため、鶴澤寛治の文楽公演における詳細な「床年譜」の作成が是非とも必要である。また「安原コレクション」以外の寛治の演奏記録を収集し検討することも重要。 これらは本研究を進める上で必要不可欠な作業であり、平成11年度に残された大きな課題である。
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