1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610043
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY OF EDUCATION |
Principal Investigator |
垣内 幸夫 京都教育大学, 教育学部, 教授 (50117420)
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Keywords | 彦六系 / 文楽系 / 豊澤団平 / 竹本大隅太夫 / 竹本摂津大掾 / 名庭絃阿弥 / 豊澤松太郎 / 鶴澤道八 |
Research Abstract |
平成11年度は六世鶴澤寛治の残した音源資料「鶴澤寛治の芸道生活と意見」に収録された内容を全て文字に起こし、その原稿について、平成10年度に引き続き八世竹澤團六師とともに音源を聴きながら分析・検討を進めた。この作業の中での竹澤團六師の談話は、新たな芸談としてデジタルビデオテープに記録した(この内容を詳細に検討するのは今後の課題である)。竹澤團六師の文楽三味線の専門的立場からの貴重な助言・指導を頂いた事が、音源資料の非常に専門的で高度な内容をより的確に把握するための大きな助けとなった。また、音源資料の内容を裏付けるために、義太夫節関係文献として大正期に発行された雑誌『新演芸』及び昭和期(戦後)に発行された雑誌『幕間』記載の関連記事を収集し、内容の照合作業を行った。さらに六世鶴澤寛治の芸歴を正しく把握するために、鶴澤寛治の文楽公演における「床年譜」を整理した。 本研究で得た知見は、8歳で文楽三味線を習いはじめて86歳で亡くなるまでの長きにわたり、芸道を追究した鶴澤寛治が自ら「彦六系」の芸の伝承過程を語った全内容を明らかにした点である。 尚、今後の研究の展開としては、「彦六系」の芸の伝承に対する「文楽系」の伝承を正しく理解し(文楽の大夫・三味線奏者から聞書する)、「近現代における義太夫節の劇場様式および個人様式」に関する音楽学と文学・演劇学の研究者による共同研究を行っていく計画である(科研費申請中)。
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