2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610051
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 哲弘 関西学院大学, 文学部, 教授 (60152724)
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Keywords | 明治時代 / 美学 / 芸術研究 / 西周 / 大塚保治 / フェノロサ / 学問社会学 / 日本:ドイツ:アメリカ |
Research Abstract |
最終年度である本年度の課題は、これまでの研究の成果をとりまとめて報告書を作成することにあった。計画調書の作成時に想定していた重点目標のうちには、その後の学界内での研究の進展との関係で申請者自身の研究対象を限定したために、充分に達成できなかったものもある。しかし、西周、フェノロサ、大塚保治など、少なくとも明治期日本の美学と芸術研究を担っていた研究者たちの業績についての基本的な調査と、その学問社会学的な分析という点においては、かなりの成果が得られたのではないだろうか。 今年度にあらたに発表した論文は、「大塚保治と近代日本の芸術研究」についてのものである。ここでは具体的には、ドイツからの帰国と東京大学着任の直後に哲学会の要請で文科大学での講義内容にもとづいて行われた大塚の講演「美學の性質及其研究法」の内容を検討することで、明治期日本における大学での芸術研究のあり方や、美学と芸術学との関係、さらには、美学講座における芸術研究の始まりについて考察を加えた。 この大塚についての論文、さらには前年度にはほぼ完成していたが発表が今年度になった矢代幸雄についての論文を含めて、今回の研究では、最終的には総計6本の関連論文を発表することができた。報告書は、これらをもとに、またその英語訳や日本語訳を一部加えて作成されている。また、この報告書には、モノグラフィーとしての研究の対象にはしなかった研究者たちについても、完全なものとは言えないが、その活動の記録、および彼らの業績や参考文献のリストを一部追加した。これらのリストは、いずれウェッブサイト上で公開して、その内容も順次更新していきたいと考えている。
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