1999 Fiscal Year Annual Research Report
早期の開眼手術後における視覚系の定位・移動行動の形成過程
Project/Area Number |
10610080
|
Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 正晴 弘前学院大学, 文学部, 教授 (60178663)
|
Keywords | 早期開眼手術 / 先天性白内障 / 重複障害 / 視覚形成 / 移動空間 / 定位機能 / 追視機能 / 陰の認知 |
Research Abstract |
早期開眼者YKについてその視・運動系活動の形成過程を探索した。開眼児YKは、生後23日目に両眼の先天性白内障の手術を受け、現在07歳になる少女である。聴覚障害(推定聴力損失80-90dB)、心臓疾患(心房中隔欠損等)を伴う。われわれは04年前にYKと出会い、YKが小学校に入学した今年度、その定位・移動行動の形成過程を中心に探索した。YKの定位活動と移動行動との状況を03年前と対比させてみると、03年前、手の支えなしに立ち上がることができず、移動の際に仰向けに寝る姿勢のまま手や足を使い床面を四方に進んでいたYKは、現在、触覚の支えなしに立ち上がり、歩行を介して移動する。そして、特定の場所を歩くことをくり返すに従い、(1)人と手をつながずに一人で歩くことができるようになる。(2)当初、路面の段差や陰の直前で立ち止まり足探りで進もうとするが、眼で見ただけで的確に段差や陰を捉えることができるようになる。(3)路上にある事物に対してその探索の範囲を拡げていく。同時に歩行路以外にある事物にも眼を向けるようになる。他方、定位活動に関しては、03年前、夜、屋外の花火に視線を向けることができず、またテレビ画面上に映る花火の光りをテレビの両端に両手を添えなければその所在を捉え追視することが困難であったが、現在、花火を手に持つことによりその光りの場所を定位し追視することができ、またテレビから離れてもその画面上の光の動きを追視することができる。
|