2001 Fiscal Year Annual Research Report
早期の開眼手術後における視覚系の定位・移動行動の形成過程
Project/Area Number |
10610080
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 正晴 弘前学院大学, 文学部, 教授 (60178663)
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Keywords | 早期開眼手術 / 先天性白内障 / 重複障害 / 視覚形成 / 移動空間 / 操作空間 / 視野変換 / 視野制限 |
Research Abstract |
今年度は、早期開眼者YKの実験に加え、視野上下変換、視野部分制限の2事態における実験を行い、両者の移動行動と操作行動の形成過程を探索し、その成立機序を総合的に検討した。(1)開眼児YKは、生後23日目に両眼の先天性白内障の手術を受け、現在9歳になる少女である。聴覚障害(推定聴力損失80-90dB)、心臓疾患(心房中隔欠損等)を伴う。われわれは6年前にYKと出会い、YKが小学校に入学してからその定位・移動行動の形成過程を中心に探索してきた。今回は、自宅内と自宅近辺の移動行動と事物の操作行動の変容過程に焦点を当てた。その結果、(a)当初は触・運動系の活動を中心に事態に対処するが、徐々に視・運動系の活動に依拠して移動したり、事物を操作したりすることが可能になる。(b)当初は行動を切り換えるときに身体がいったん停止するが、対象を捉える視点が変化していくとそれに伴い行動が連続的になる。(c)事物の操作を繰り返すと、事物を捉える視点の動きは徐々に頭部の動きから眼球の動きに変換されていく。(2)視野変換、視野制限の2事態における実験は報告者が被験者となった。その結果、(a)移動を繰り返すことにより外界をつなげる適切な基準点を選び出す。基準点と基準点をつなげる方式も変化していく。(b)当初は、身体の一部(手、足)から対象まで視点を移動させてその距離と方向を測る。徐々に対象のみを見るだけでその定位が可能になる。
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Research Products
(1 results)