1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610138
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
田原 俊司 神田外語大学, 外国語学部, 助教授 (50207205)
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Keywords | 「いじめ」 / コンジョイント分析 / 重要度スコア / 直交計画法 |
Research Abstract |
現在、どのような条件の場合に、どの程度、深刻な「いじめ」が発生するのかといった原因と結果との間の因果関係はほとんど解明されていない。本研究の目的は、「いじめ」の原因・誘因として先行研究で指摘されてきた要因の中で「親の育て方」「本人の性格」「受験競争」「いつも一緒に遊ぶ友達の人数」「集団への迷惑(約束の遵守の程度)」「校則の厳しさ」の6要因に限定し、「いじめ」の被害者や加害者になる要因として、これらの要因(およびこれら諸要因の交互作用)がどの程度影響を与えていると人々が考えているのかをフルプロファイル法によるコンジョイント分析で解明することであった。被験者は小学生、中学生、大学生、社会人の4群で、計321名が実験に参加した。分析の結果、「いじめ」の被害者となる要因の重要度スコアは、「いつも一緒に遊ぶ友だちの人数」が31.05と最も高く、それ以外の要因は20.2よりも小さいことが確認された。また、「いじめ」の加害者となる要因の重要スコアは、「本人の性格」が28.30、「いつも一緒に遊ぶ友だちの人数」が21.27であり、この両要因が「いじめ」の被害者の同定に対しては重要な要因であることが判明した。さらに、「受験」と「校則」の両要因は「いじめ」の加害者・被害者の同定にほとんど影響を与えていないことも判明した。しかし、いずれの要因の重要度スコアも必ずしも高いとは言えず、各被験者の手がかりの依存パターンの分析からは、「いじめ」の被害者や加害者になりやすい人かどうか判断する手がかりは、被験者により異なり、多様であることが明らかとなった。さらに、「いじめ」の被害者や加害者の同定において、被験者の4群間で一元配置の分散分析により、各要因間でほとんど差がないことも明らかとなった。このことは、年代間で、「いじめ」の原因が異なるとする考え方が必ずしも正しいとは言えないことを示唆するものであった。
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Research Products
(2 results)