1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本語での語彙アプローチによるパーソナリティ特性次元の分析
Project/Area Number |
10610151
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
辻 平治郎 甲南女子大学, 文学部, 教授 (60098457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 斉 京都大学, 総合情報メディアセンター, 助手 (50207362)
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Keywords | パーソナリティ特性 / 語彙アプローチ / 日本語 / 5因子 |
Research Abstract |
欧米では、重要な意味をもつパーソナリティ特性は必ず自然言語に符号化されると仮定し、辞書から特性語を網羅的に収集し分類整理する「語彙アプローチ」が進められ、特性が5因子よりなることが明らかにされつつある。本研究の目的は日本語でも、語彙アプローチを通じて5因子が確認できるかどうか、また日本独自の特性因子が見出されるかどうかを検討しようとするものである。このために私たちは、現代の日本語をほぼ網羅していると期待できる広辞苑の最新版から特性語を収集することにした。この作業には大学院在学以上のレベルの研究者、約20名の協力を求めて、同じページを2人がチェックするようにし、特性語として使用される可能性のある語はすべて拾い出すように努めた。 ただし、実際に作業を進めてみると、予想外に多くの困難に遭遇した。すなわち、英語で特性語といえばほとんどが形容詞で、いくらかの名詞が含まれるくらいであるが、日本語では形容詞はもとより、非常に多くの名詞や動詞がこれに含まれる。これらの語を活用させたり複合語をつくったりすると、その数はさらに膨大となる。もつとも、上記の自然言語の仮説が正しいなら、実用上は日常使用されている語を漏れなく収集できれば、それでよいはずである。しかし、広辞苑には多くの古語、難語が含まれており、これらをどこまで含めるか明快な基準が設定できなかった。このため、作業が大幅に遅れただけでなく、疑問のある語も多数含めることになってしまった。当初の予定では初年度に特性語を収集して、その大雑把な分類作業まですませる予定であったが、現在ようやくその入力作業を終えたばかりである。次年度以降は、試行錯誤しながら、この分類整理を進めていく予定である。
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