2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本語での語彙アプローチによるパーソナリティ特性次元の分析
Project/Area Number |
10610151
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
辻 平治郎 甲南女子大学, 文学部, 教授 (60098457)
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Keywords | パーソナリティ特性 / 語彙アプローチ / 日本語 |
Research Abstract |
近年特性論の主流となった5因子モデルは、重要なパーソナリティ特性は必ず自然言語に符号化されるはずだと仮定し、特性語を網羅的に収集し分類する「語彙アプローチ」から生れてきた。本研究は、日本語でこの語彙アプローチを行い、5因子の確実性と、日本語に独自の特性因子の有無について、検討しようとするものである。 このためにまず、特性語および特性語化できそうな語を広辞苑から抽出し、17,158語を収集した。しかしこの中には、文章化しないと特性語化できないものが含まれていたので、それらを削除し表記を統一したところ、13,198語となった(第1次データベース)。次に、これらの語を、(1)通じない、(2)?、(3)通じる、の3段階で18名の研究協力者に評定してもらい、現代人にはほとんど通じないと考えられる評定平均値1.5未満の語を削除した。その結果、11,145語が残った(第2次データベース)。内訳は、名詞8134語、動詞1099語、形容詞646語、副詞77語、連体詞4語、慣用句1185である。この検討の過程で特性語化のルール(形容語化、所有化、程度や評価表現の付加、動詞化等)も明確になったので、あらためてこの第2次データベースについて、(1)どのルールで特性語化できるか、(2)その言葉の意味が分かるか、(3)その言葉を使うか、の評定を18名の研究協力者に依頼した。その結果、特性語化に適用されるルールは概ね一致することが分かった。また、「通じる」「分かる」「使う」の3種類の評定平均値が2.5以上の語を日常的に使われる特性語と見なして篩いにかけると3,779語となった(第3次データベース)。また、この3種類の評定のすべてで3と評定されたものが400語になったので、これらを尺度化して、自己評定データ(有効回答490名)をとり、因子分析を行った。その結果11因子が妥当と考えられたので、これを分類手がかりとして、第3次データベースの分類をしようと考えているところである。
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