2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610183
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
片瀬 一男 東北学院大学, 教養学部, 教授 (30161061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木谷 忍 東北大学, 農学部, 助教授 (20169866)
古賀 正義 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (90178244)
秋永 雄一 東北大学, 教育学部, 助教授 (90212430)
水島 和則 東北大学, 教育学部, 助手 (00219627)
木村 邦博 東北大学, 文学部, 助教授 (80202042)
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Keywords | 教育アスピレーション / 職業アスピレーション / 教育達成 / 文化資本 / 学習意識 / 学校外教育投資 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度、実施した「教育と社会に対する高校生の意識:第4次調査」のデータをもとに分析を行い、報告書を作成した。今回の分析から得られた主要な知見は以下の通りである。 1.高校生の教育アスピレーションに関しては、第3次調査(1994年)に比べても、高学歴志向が強まっており、とりわけ女子において「短大離れ」がすすむ傾向がみられた。この点で、「大衆教育社会」と呼ばれる状況が進行しつつあることが確認された。また、職業アスピレーションについても、従来通り専門職志向の強いことが明らかになった。しかし、その一方で両親の階層的地位が、在籍する高校ランクを媒介に高校生の教育・職業アスピレーションを規定するという教育達成の階層間格差の問題は依然として変わっていないことが確認された。 2.教育達成の階層間格差のメカニズムを解明するため、家族内における文化資本(芸術文化資本と読書文化資本)の伝達に注目したところ、親の階層的地位は親自身の文化資本を媒介に子どもの文化資本に影響を及ぼしていること、また父親よりも母親の文化資本が子どもの文化資本を規定する度合いが大きいことが分かった。さらに子どもの教育達成の規定因については、男子の場合、本人の文化資本よりも父親の社会的地位の影響が大きかったのに対して、女子の場合、母親の文化資本に規定された本人の文化資本の影響が最も大きかった。 3.高校生の学習意識には、積極的学習動機、柔軟的学習方法、他者志向的学習動機の3つの要素が見いだされた。このうち積極的学習動機をもつ者は進学校の生徒に多く見いだされた。また、積極的学習動機と柔軟的学習方法は、高校ランクに関わらず、大学進学志望を強めるという形で教育アスピレーションの形成に一定の役割を果たしていることが明らかになった。
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