1998 Fiscal Year Annual Research Report
不登校の転帰を決める因子およびその後年の影響に関する研究
Project/Area Number |
10610242
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
杉山 登志郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (60216348)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堀 健次 黄柳野高等学校, 教諭
猪子 香代 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80168476)
|
Keywords | school refusal / conduct disorder / outcome / psychotherapy |
Research Abstract |
この3年間実施して来た問診票および評価尺度による調査を本年も行った。その結果、平成10年度の入学生に関しては、いじめを受けた既往は生徒の43%不登校の既往は66%に見られ、これまで3年間の平均ではいじめられた既往51%、不登校の既往69%に比較してわずかに少なかった。その一方で何らかの行為障害の既往を持つ者は36%とこれまでの3年間の平均26%に比ベて有意に多く認められ、例年よりも非行傾向の強い生徒が多いことが明らかとなった。学力の問題を抱える生徒は3割程度に見られたが、評価尺度において低学力の者にむしろ有意に良い結果が示され、不登校の一つの後年の影響が低学力と、それに基づく内省の不足というわれわれの指摘を本年度も裏付ける結果が示された。特に不登校と行為障害の合併者において、内省力の乏しい傾向が認められた。 11月に実施した集中面接を含め、新たに42人の個人面接を行った。この中で境界線水準よりも重症と判定される生徒が20名みられた。また上記の行為障害を伴った不登校の既往を持つ生徒など、言語的な面接が著しく困難な者が多いことが明らかとった。これまでの個別面接では十分な対応が不十分と判断され、集団精神療法の導入が検討された。最初の試みとして、啓蒙グループ的な集団面接を4回実施したが、この面接では十分に展開がみられず、個別面接で対応が困難な生徒への援助方法に関しては、次年度の課題として残された。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Inoko,K., Sugiyama,T.et al.: "The relation between child and adolescent neurotic symptoms and their age." Recent progress in Child and Adolescent Psychiatry. 2. 84-98 (1999)