2000 Fiscal Year Annual Research Report
不登校の転帰を決める因子およびその後年の影響に関する研究
Project/Area Number |
10610242
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
杉山 登志郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (60216348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪子 香代 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80168476)
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Keywords | 不登校 / 非行 / 軽度発達障害 / 転帰 / 精神医学的診断 |
Research Abstract |
黄柳野高校に入学した生徒に対する6年間にわたる調査の集計を行った。その結果、調査が可能であった796名の生徒のうち不登校の既往者は73%、いじめの既往者は48%にのぼった。不登校と相関が認められた要因は、生育歴上の家庭の混乱、いじめ、家庭内暴力、教師との葛藤、などの項目であり、非行行為の既往をもつ62%もまた不登校を伴っていた。早期に集団教育でトラブルが生じたものの方が、不登校の開始年齢が若く、また学力の問題を抱えるものの方が、不登校の開始年齢が優位に早いことが示された。軽度発達障害をもつ生徒は、全体の15%程度であるが、このグループでは多動傾向の既往と非行と、言葉の遅れと学力の問題が高い相関をもつことが示された。また症例検討からは、対人的過敏性や強迫性、低学力を抱える生徒において不登校からの回復が不良となる可能性が高いことが示された。また生徒の20%は精神科的な治療を要する問題を抱えており、不登校への対応に対する医療との連携の必要性が示された。
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[Publications] Murase,S.,Sugiyama,T.: "Polysymtomatic conversion disorder in childhood and adolescence in Japan"Psychotherapy and Psychosomatics. 69. 132-136 (2000)
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[Publications] JSPP 編: "学校精神保健対策マニュアル"なるひと書房. 250 (2000)