1999 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツにおける児童・青少年の保護・育成政策-20世紀前半を中心に-
Project/Area Number |
10610269
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
畔上 泰治 琉球大学, 法文学部, 助教授 (70184174)
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Keywords | 青少年政策 / Moringen / 第三帝国 |
Research Abstract |
「第三帝国」期にモーリンゲン(Moringen:ゲッチンゲン近郊)に設けられた「青少年保護施設」に関する資料の整理・分析が中心になった。現在この施設跡には小さな資料館が設置され、当時の写真や資料が展示されている。この施設の実態は当時地域住民にも知らされていなかった。これは、「青少年保護施設」という名称に由来するものである。M.Guse/A.Kohrsは当時の資料や施設入居者へのインタヴューの分析から、この施設の実態が児童・青少年の「保護」に名を借りた「収容所」であったことを明らかにした。即ち、この施設の本質が、ヒトラー政権下で断行された社会的弱者の排除・切り捨てを目的とした政策遂行にあり、青少年の「保護」という名目はその隠れ蓑に過ぎなかったとの認識を示している。収容者は人種医学的な重要な資料とみなされ、人種的観点から断種手術を施されたり、後にアウシュヴィツ収容所に送られた者もいた。私の本年度の研究は、M.Guse/A.Kohrsが公刊した著書「Die"Bewahrung"Jugendlicher im NS-Staat.-Ausgrenzung und Internierung am Beispiel der Jugendkonzentrations-lager Moringen und Uckermark-」(o.J.,Moringen)の分析と資料収集・入力を中心に行った。(しかし、途中、9月中旬にコンピュータのハード・ディスクの故障・交換があり、それまでに入力していた資料の多くが失われ、再び入力をし直すというアクシデントに見舞われた。そのため本研究作業が著しく遅延した。)
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