1998 Fiscal Year Annual Research Report
ユニバーサル時代を迎える大学教育と高校教育の有機的接続に関する研究 -大学進学準備教育の在り方を巡る日米比較研究-
Project/Area Number |
10610275
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
田中 義郎 玉川大学, 文学部, 助教授 (00188351)
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Keywords | 大学進学準備教育 / ユニバーサル時代の大学教育 / 大学教育と高校教育の整合性 / 大学のリメディアル教育 / アメリカの教育改革 |
Research Abstract |
本年度は米国の事例研究を中心に行った。K-12の教育改革は米国が如何に子どもを教育するのかを反映している。しかし、こうした改革の努力が、既存の大学入試や入試政策とのギャップをむしろ拡げ、高校での大学進学準備を不適切なものにしていると指摘され、問題点が三つ挙げられている。(1)高校での大学教育の準備に関して、生徒のアセスメントのための客観的な評価尺度が欠けている、(2)高校生が行う大学教育の準備と大学入試や入試政策の基準に不整合がある、(3)高校教育改革の中で、大学教育への準備は重要視されていない。こうした状況が、大学への進学を希望する高校生や高校に、混交した情報と方向づけを与え、K-12における数多くの教育改革の努力の最終的な効果を疑問視させるに至ったとされる。整合性に加えて、大学教育は大学卒業率の低下とフレッシュマン(大学1年生)のリメディアル率の上昇を憂慮している。高校で良く準備されて大学に入学してくる学生たちは、こうした問題を抱えておらず、良好な大学生活を送っている。伝統的に大学での生活を良く準備する私立高校(プレップ・スクール)の卒業生の事例もまたそれを証明している。リメディエーションは、大学の問題だけでなく、学生にとっても、彼らの学位取得に至る時間とお金を考えれば、かなりの超過出費となる。こうした状況の中で、大学入試と入試政策のシステムの改善に向けて問題を分析する研究は重要であり、実際、様々な研究プロジェクトが動いている。それらは、(1)大学入試とフレッシュマンの学力判定での学力水準が高校と高校生に与える影響の研究、(2)州政府が規定している高校教育の内容とその後の成果および評価の大学教育への継続的整合性の研究、(3)既存の政策の再構築のために、現在、大学入試とフレッシュマンの学力判定で採用されている基本方針と学力水準に対してその他の選択肢が持つ影響力の分析、などである。
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