2000 Fiscal Year Annual Research Report
土地関係史料・戸口史料分析による江戸時代村落社会の基礎的研究
Project/Area Number |
10610327
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
原田 誠司 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50252820)
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Keywords | 百姓 / 下人 / 戸口史料 / 小農自立 / 土豪 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に引続き、土地関係史料蒐集の過程で、江戸時代(特に初期・前期)村落社会研究において、枢要の位置を占める、所謂「土豪百姓」(有力農民)の伝来文書の分析を進めた(具体的には播磨国加東郡粟生村の河合家文書等)。その結果、土豪百姓が、地域社会に果たした史的意義について、特にこれまで曖昧であることの多かった「流通」支配の実態がある程度判明した。 簡潔に述べれば、村段階を超えて郷段階ないし、郡を超えての後背地村落からの物資集散の結節点の維持・支配と纏めることができるのである。 また、伝来した文書そのものの在り方(「達」と「請書」の複合文書)と内容自体が商人・小百姓との対抗関係をも示しており、当該期の「土豪百姓」と地域社会との関係を具体的に示すものであった。 また、上記文書群には、より直接的に「土豪百姓」と「百姓」の対抗関係(初期村方騒動)の知られる文書も伝来しており、近在に残る初期検地帳と併せ分析することによって、初期村落社会の実相を具体的に明らかにしうると考える。 なお、当該地域(加東郡黍田村)には、非常に興味深い検地帳が伝来していることも判明したので(慶長六年〔1601〕頃の検地を素に寛永十年〔1633〕の検地帳が作成されている)、検地帳自体の史料的性格の解明を目指したい、と考える。 勿論、当初の「研究計画」にしたがって、「戸口史料」の分析も併せ深め、村落社会の実相に接近したいと考える。
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Research Products
(1 results)