1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610332
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮崎 克則 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助手 (80219758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠本 美智子 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助手 (10091232)
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Keywords | 宮座帳簿 / 「寺中」 / 役者 |
Research Abstract |
祭礼の調査は関連史料の収集とともに、フィールドワークが重要である。祭礼史料としては各神社や氏子集団に所蔵されており、また大名史料や庄屋史料等にも祭礼や芸能集団に関する史料が含まれている。本年度は福岡藩領における祭礼関係史料の収集を重点的に実施した。 1) 筑前国宗像郡の宮座関係史料 寛永17年〜『内殿邑供日祭官座帳』・寛保2年〜『十社王子並申王子御宮座帳』・天明1年〜『本木村御宮座記録』など、江戸前期から現代までの宮座帳簿や庚申講に関する帳簿など総数100点におよぶ史料を収集できた。これらは現在も使用されており、毎年引き継がれ、書き継がれている。数カ村の史料を集めた結果、村内部の祭祀組織が一つでなく、いくつも重層的に存在すること、時代の変化とともに新たな組織が形成されていく過程を明らかにすることができた。 2) 福岡藩の藩政史料 福岡県立図書館に所蔵される「黒田家文書」をはじめ「太田資料」から、祭礼・芝居に関する法令を収集した。その結果、祭礼に対する領主規制の変化、倹約令との関係をとらえることができた。 3) 役者史料 村の祭礼では、儀式の後に芝居や相撲、見せ物などが催される。福岡藩には「寺中」という専門の役者集団がおり、これに関する「芦屋寺中関係史料」(100点)を収集した。それによって、寺中の存在形態が明らかになるとともに、彼らが如何にして村々の祭礼を回っていたのか、領主規制のあり方などもとらえることができる。 以上の史料によって、祭りをその組織や領主規制・役者などの多方面から検討することができた。次年度は調査対象を他地域へ広げ、祭礼関係史料の収集と分析を行う。
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