2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610332
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮崎 克則 九州大学, 総合研究博物館, 助教授 (80219758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠本 美智子 九州大学, 総合研究博物館, 助手 (10091232)
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Keywords | 九州南部 / 祭礼 / 村芝居 / 幕末維新期 / 民衆像 |
Research Abstract |
昨年まで、九州北部を対象に調査したので、本年度は南九州地域の祭礼を調査した。対象地域おび機関は、熊本県天草郡本渡市立民俗資料館・同上田家資料館、大分県立図書館、宮崎県立図書館、鹿児島県立図書館、鹿児島県加世田市立図書館等において、祭礼に関する記録史料(例えば宮座帳、献立帳、祭礼関係法令など)のマイクロ撮影による史料収集をおこなうとともに、熊本県の清和村や大分県日田市などに現存する伝統芸能・村芝居・芝居小屋の現地調査を実施した。 対象とする時期は、近世近代移行期、とくに幕末維新期を中心とし、幕藩権力から明治政府への権力交替が村・町の祭礼にどのような影響・規制をもたらしたのか、また規制を受けながらも祭礼を続ける民衆の意識を検討した。その結果、明治初年において、明治政府が文明開化の名のもとに従来からの伝統的な祭礼を「悪弊」として禁止したこと、代わりに天皇を主体とする祭礼を強制していったことが明らかとなった。そして、そうした権力側からの強制に対して、民衆側が一部は順応しながらも、一部では従来からの祭礼・芸能を続けていく姿が明らかとなった。民衆側の対応のありかたは、それぞれの地域で異なり、また明治期を通して10年以前と以後、明治30年代など、時期的に対応の相違があることがわかった。来年度においては、祭礼変化の政治的・経済的背景を追究するとともに、歌舞伎・狂言の芝居や踊りの変化を社会構造の変化と関連させながら、西日本地域を対象に総合的に再検討し、近代化が民衆文化に与えた影響をあきらかにしよう。
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