1999 Fiscal Year Annual Research Report
16〜17世紀メスタ協議会の内部構造の変容と<平地の>牧畜業者、王権との相関関係
Project/Area Number |
10610379
|
Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
五十嵐 一成 札幌大学, 法学部, 教授 (10124893)
|
Keywords | ミリョーネス新税 / カスティーリャ王権 / メスタ協議会 / <平地の>牧畜業者 / ポセシオン権 / セルビシオ・イ・モンタスコ税 / カスティーリャ・コルテス / モストレンコ |
Research Abstract |
ミリョーネス新税に代表される、16世紀末年のカスティーリャ王権の財政難は、当該社会・経済の上にも、甚大な影響を及ぼすことになった。牧畜業者組合メスタ協議会との関係で、それは特に言えることである。王権は、王領、及び準王領たる騎士団領において、メスタ協議会に約束していたポセシオンの特権を骨抜きしてでも、牧地賃貸料収入の増額を図り、セルビシオ・イ・モンタスゴ税の増徴のためには、伝統的に定まっていた徴税地点以外にも徴税役人を派遣して、大移牧、小移牧(それぞれ、<山地の>牧畜業者、<平地の>牧畜業者を中心とする)、定牧のいかんを問わずに徴税を敢行していたことを初めて明らかにした。折からの、天候不順、経済の長期的不調化の中で農村社会一般も深刻な危機に見舞われていたが、その中でのミリョーネスの賦課、そして1601年からの増徴のためには、王権は、農村部自治体の要望を可能な範囲で満たしてやる必要があった。これこそが、1590年代以後延々と、メスタ協議会改革案、実質的にはメスタ協議会の特権とその勢力・影響力の縮減案が、カスティーリャ・コルテスで議論され、いくつかの勅令となって公布され、それに対してメスタ協議会が抵抗せねばならなかった要因である。当時はまた、トレド市に代表される中南部カスティーリャの都市権力、マケダ公に代表される領主権力も、それぞれ、己が地域メスタのため、モストレンコと呼ばれる迷い家畜収入のために、内部矛盾と対立を露呈させていたメスタ協議会への攻勢を強めていたことも、私の研究が新たに解明しつつある所である。
|
Research Products
(2 results)