1998 Fiscal Year Annual Research Report
黒死病の時代の文化からルネッサンス・ヒューマニズムへの展開過程の研究
Project/Area Number |
10610385
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
石坂 尚武 同志社大学, 文学部, 助教授 (60278455)
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Keywords | ペスト / 中世 / ルネサンス / 社会史 / 文化史 |
Research Abstract |
本年度の研究としては基本的文献、基本的史料の収集とその読み込み、理解に労力を払った。ペスト(黒死病)については日本において基本的文献がはなはだしく欠如しており、その収集には時間的、金銭的労力を大いに要した。14世紀の時代に書かれた年代記、記録については不十分ながら原典史料を取りよせ、それについて一定理解・検討することができた。また近年のペスト研究の内容と動向に触れるべくいくつかの研究書、とりわけ学会報告書を入手し、批判的に検討することができた。これについては本年5月刊行予定の『ルネサンス研究』(ルネサンス研究会)に近年のペスト研究の動向を紹介することになっている。そこでは中世・近世の歴史者が13人会した学会での研究報告・論文が批判的に展望されている。主にLa peste nera:dati di una realta ed elementi di una interpretazionae.Atti del XXX Convegno storico internazionale Todi,10-13 ottobre 1993. を主体として展望している。また14・15世紀のペスト時代からその後の時代の音楽様式についても理解を深めるべく中世ルネサンス音楽のCD選集を入手し、現在研究中である。こうして思想哲学を一方で分析しつつ、他方音楽・美術の分析をしつつ、社会史研究としめペストについて総体から取りくむことができているところである。
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