1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610477
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
石居 典子 (川崎 典子) 東京女子大学, 現代文化学部, 助教授 (50169702)
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Keywords | 中間構文 / 統語移動 / θ位置 / θ役割 / 主述関係 / PRO / 定性 / 英語 |
Research Abstract |
今年度は,中間構文を扱った前年度の研究の成果の中から次の点を取り上げさらに発展させた. 中間構文の主語は,移動後の位置で「述語の表す特性の担い手」という意味役割を主述関係に基づいて与えられる.このような意味役割は,動作主など出来事(event)の中での主題役割とは区別されるべきで,意味役割を与えられる位置(所謂θ位置)への移動は,移動後の位置で前者の意味役割が与えられる場合にのみ許される. 前年度の研究では「『出来事中の役割』の認定にのみ名詞句と動詞との間に統語的素性照合が関る」という仮説に基づいてこの点を説明する分析を展開したが,今年度の研究では,「意味役割の認定のための統語素性の照合は一切存在せず,意味役割の認定が移動を引き起こすことはない」という更に制限の強い仮説によってこれを説明する分析を試みた.この分析は,「individual-level predicateの外項(上記「述語の表す特性の担い手」を受ける項に相当)は動詞句の外で認定され(動作主を含む)stage-level predicateの主語は動詞句内で認定される」というDiesing(1988),Kratzer(1989)の提案に沿ったもので,その主旨は,「中間構文の主語は,格・人称などの照合のために時制辞の指定部に入り,そこで『述語の表す特性の担い手』という役割を認定されるが,動作主の認定される位置では格・人称などの照合が起きないためにこの位置への移動はあり得ない」というものである. 今年度はまた,「不定詞・動名詞句の空主語の名詞句(所謂PRO)は定性・不定性を持たない」としたKawasaki(1996)の提案と,統語範疇などPROの内在的特性との関連について考察を進めた.
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Research Products
(1 results)