1998 Fiscal Year Annual Research Report
スイスロマンド研究:フランス語圏文化の新しい視点と展開
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10610489
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Research Institution | Sendai Shirayuri Women's College |
Principal Investigator |
正田 靖子 仙台白百合女子大学, 人間学部, 助教授 (60285674)
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Keywords | スイスロマンド文学 / フランス語文学 / ラミュ / 水のテーマ / 旧約聖書 / ギリシア神話 / ラマルチーヌ / 宮沢賢治 |
Research Abstract |
本研究の特色は、スイスロマンド文学を網羅的に解析するのではなく、鍵となる重要な作家に焦点を絞り多面的な分析を徹底して行う点にある。まず初年度はラミュの短編を旧約聖書ならびに宮沢賢治の短編との関連で読み解き、その文学的テーマの普遍性と文体の特徴を浮き彫りにした。その成果をトゥール大学(フランス)で開催された国際ラミュ学会において発表した。なお同学会への参加は、ラミュ研究の今日的成果に通じるだけでなく、世界の研究者との個人的交流により、世界各国におけるスイスロマンド文学研究の現状にも目をむけ、研究のさらなる展開を可能にした。なお本発表は“〈Les Servants〉ou l'histoire de la rencontre"のタイトルで、ミナール社(パリ)から出版されるラミュの研究書に掲載される予定である。 スイスロマンド文学の大きな潮流のひとつとして日記文学に着目し、19世紀の作家アミエルの日記を特に1857年に限定し精読した。この年は『ボヴァリー夫人』と『悪の華』が出版された年であるが、この2作品に関する言及は見られなかった。しかし若手のテーヌの初期の作品にいち早く注目する一方、一般には哲学的とされるユゴーの『静観詩集』を思想の深まりに欠けると批判している点など、後にフランス文学との連関性を検討する上で興味深い視点を得ることができた。 さらにロマンド文学の歴史的展開を探るため、スイスの作家たちと交流が深かったと思われる19世紀ロマン主義の作家、ラマルチーヌの詩作品を分析することによりロマンド文学の根幹をなすポエジーへのアプローチを試み、その成果を“Lamartine et le plaisir de la reverie de l'eai"のタイトルで論文にまとめた(『仙台白百合女子大学紀要』)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yasuko Shoda-Fujizane: "Lamartine et le plaisir de la reverie de l'eau" 仙台白百合女子大学紀要. 3. 61-73 (1999)
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[Publications] Yasuko Shoda-Fujizane: "4Les Servants,ou I'histoire de la rencontre -La Pcur des autres existe tousours-" Minard,Parie Revue des Lettres modernes Serie C F Ramuz (印刷中),