1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610495
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有川 貫太郎 名古屋大学, 言語文化部, 教授 (90033232)
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Keywords | ラオ-コオン群像 / ヴェルギリウス / プリニウス / スキュラ像 / 視覚論 / ヘレニズム美術 / ペルガモン神殿 |
Research Abstract |
l インターネットによる情報収集 1) 古典文学関連の有用なサイトにより、多くの電子化されたテクストを入手した。主なものはHomeros:Ilias,Odysseia,Vergil:Aeneis,Plinius:Historia Naturalis等である。これによって諸種の検索が飛躍的に容易になる。ヴェルギリウスにおけるラオ-コオン描写の語彙のコンコーダンスを作製した。プリニウスでは重要な語であるstatuaria arsの用例を収集し、データ化しつつある。 2) ヴァティカン美術館等のサイトから、古代彫刻についての画像情報を得ることができた。 3) 古代ローマ関連のサイトから、ラオ-コオン群像が置かれていた時代のローマの地誌的情報を得ることができた。 2 Bernard Andreae:Laokoon und die Grundung Roms(1986)などにより、ラオ-コオン群像のオリジナルはヘレニズム時代のブロンズ像である、とする新説を検討した。また同時に、ラオコオン群像と同じ作者銘をもつ、スペルロンガの「スキュラ像」についての考古学・美学的研究の現状を把握することができた。また、このふたつの群像の比較によって、ヘレニズム彫刻の歴史についてより明確な概念を得ることができた。 3 18世紀ドイツの、古代彫刻に関する言及を収集した。ヴィンケルマン、レッシング、ゲーテ、ヘルダーらの言及を比較することにより、美術観の推移を明らかにすることができた。また、この流れをより根本的に理解するために、当時の「視覚」の概念をめぐる議論を追跡している。 4 上記1やその他の資料から得られたヴィジュアル情報を、パソコンに画像保存した。これにより、たとえば彫刻作品をテーマ別に画像処理してデータ化することが可能となる。
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