2000 Fiscal Year Annual Research Report
現代ドイツの社会変化を反映する言語変化の研究-語彙の問題を中心として-
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10610500
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本田 義昭 山口大学, 人文学部, 教授 (50116753)
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Keywords | 社会変化 / 言語変化 / 語彙 / 時事ドイツ語 |
Research Abstract |
1.本研究の目的は,最近10年間のドイツ語の語彙の変化について,語彙の変化が起きる要因は何か,語彙の変化はどのようにして一般に認知されるようになるのか,語彙の変化はどの分野で起きやすいのか,などの問題を社会的背景を踏まえて究明することである. 2.3年目にあたる今年度は,平成10年度から採取してきた1万4000語の新語の分析を行なった.今年度に行なった研究によって以下の事が明らかになった. (1)新語のほとんどは名詞・形容詞・動詞のいずれかの品詞で,名詞が圧倒的に多い. (2)形態的に見ると,新語のほとんどは既に存在する単語を語幹とした派生語あるいは複合語である.そうでない場合は,略語・外来語・固有名詞にほぼ限られる. (3)語幹で表わされた概念が社会に定着していればいるほど,それから作られる派生語ないし複合語も多い.語幹ごとの新語の数を調べて見ると,政治・経済・社会関係の非常に頻繁に使用される単語を語幹とする派生語・複合語が上位を占めた. (4)"EU"(欧州連合)および"Internet"を語幹とする新語の数がそれぞれ6位と24位に入ったが,この二つの事柄がドイツの現代社会に十分浸透していることが窺える.それ以外にも,「環境・エネルギー問題」,「情報・通信」,「バイオ技術・遺伝子研究」,「難民・外国人問題」,「女性問題」,「政治改革」そして「狂牛病」などドイツの現代社会で話題になるテーマに関連する新語が目を引く. (5)これらのテーマは,「欧州連合」と「ユーロ」を除いて,現在日本で,そして世界中で取り上げられることの多い時事問題でもある.グローバル化の波は世界の諸言語の語彙にまで及んでいる.
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