1998 Fiscal Year Annual Research Report
西欧近代における観念の図像化運動、あるいはイメージ思考の研究
Project/Area Number |
10610502
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
原 研二 東京都立大学, 人文学部, 教授 (50115622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒子 康弘 東京都立大学, 人文学部, 助手 (50305398)
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Keywords | 図像学 / エンブレム / 建築 / 庭園 / オペラ座 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ルネッサンス以降の特色として、観念の図像化運動が起きていることを、明らかにすることにある。それは通常、哲学史が観念の洗練と抽象化の線で構成されるのとは違って、イメージ思考が先行しているはずだという画期的な視点になるはずである。これは大枠のテーマである。この観点から、長期的には、西欧近世における観念生成をめぐって、(1)観念の図像化運動の諸相、(2)図像の作り手が図像にこめた意味、(3)図像の作り手には関わらない無意識の意味、(4)見過ごされたパラダイムの証言としての図像、(5)観念の図像化運動が起こっている証明、この5つの研究が目指される。そのために、まず(1)のテーマが当面の研究課題になる。すなわち、人間が図像によって世界を構成する動物である諸相を、さしあたってひとつひとつ掘り起こす作業をする必要がある。したがって、平成10年度の研究は、何よりまず大量の図像を収集し、データ・ベース化する体制を整えることから始められねばならなかった。まさしく、可能な限り多様多量な図像を収集・蓄積することが、本研究の基盤であるので、高画質のスキャナーやデジタルカメラ、MOのどの記憶増量機器を用いて、これまでの、ファインアート、エンブレム、建築、庭園、オペラ座研究の周辺で散在するままに放置されていた大量の図版を入力することに、本年度の研究の大半が費やされた。もちろん、データ・ベース化は一朝一夕になし蓮げられぬ息の長い作業であるので、比較図像学による図像のパターン化に焦点を定め、検索の有効性・効率を決定する分類の仕方、クロスレファランスのモデルの試行が並行して進められた。
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