1999 Fiscal Year Annual Research Report
西欧近代における観念の図像化運動,あるいはイメージ思考の研究
Project/Area Number |
10610502
|
Research Institution | TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
原 研二 東京都立大学, 人文学部, 教授 (50115622)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒子 康弘 東京都立大学, 人文学部, 助手 (50305398)
|
Keywords | グロッタ / オペラ座 / 図像 / メディア |
Research Abstract |
人工洞窟(グロッタ)をめぐる研究は、プラトン以来の洞窟のパラダイムが、映画、テレビ、パソコンといったメディアを支配する局面を解剖することにある。この個別研究の一環として、『イタリア篇』(同朋社、1998年)で、ボボリ公園の人工洞窟を分析した。 『オペラ座』(講談社、1997年)の図像研究を受け、『パリ篇』(同朋社、1998年)では、パリオペラ座が、伝奇小説『オペラ座の怪人』の展開したイメージにとどまらず、ヴァレリーのテスト氏などに対応しているさまを考察した。 世紀末関連では、「首を刈る女」たちの図像をめぐって、「宿命の女」という通俗イメージが、オペラ化されることで個性化してゆくさまを追った。これは、プッチーニ論(オーチャード・ホール講演プログラム、1999年)において詳述した。 さらに、図像の比較研究として興味深かったのは、17世紀における道化の図像とオランダ静物画のリアリズムの同質性であった(バッハ全集6、小学館、1997年)。ここからは、今後、西欧の広場の芸能と新世界との関わりを図像的に展開する可能性が開けた。 研究目的に掲げておいたルルス、ライプニッツを経てドイツロマン派にいたる世界の組み合わせ術については、ジョン・ノイバウアー『アルス・コンビナトリア』を出発点とすべく、翻訳を果たした(ありな、1999年)。今後の図像編集の哲学となるべき重要な出発点である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 原 研二: "愛のグランド・オペラ"オーチャード・ホール「トゥーランドット」プログラム. 24-29 (1999)
-
[Publications] 原 研二: "グロテスクの内部に浸る"「イタリア篇」ワールド・ミステリー・ツアー (同朋社). 13巻. 45-51 (1998)
-
[Publications] 原 研二: "オペラ座のグロッタに抱かれて"「パリ篇」 (同朋社). 45-51 (1998)
-
[Publications] 原 研二: "市場に群れる道化たち・あるいは豊かさの強迫"バッハ全集 (小学館). 6巻. 80-91 (1997)
-
[Publications] 原 研二: "旅一座のリア王-身振り言語の一大教育時代"舞台美術・新国立劇場通信. 4号. 3-4 (1997)
-
[Publications] 黒子 康弘: "恐くも天使の歴史的位置-リルケ・メディア・崇高-"ドイツ文学 (日本独文学会編). 104号. (未定) (2000)