1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610524
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
影山 太郎 関西学院大学, 文学部, 教授 (80068288)
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Keywords | レキシコン / 辞書 / 語彙概念構造 / 特質構造 / 動詞 / 名詞 / 意味 / 日英語 |
Research Abstract |
本年度は,英語と日本語のデータ収集と,総合的レキシコン理論に向けての基礎研究を行った。データ収集に関して,英語についてはインターネットでイギリスCollins社のBank of English Corpusを利用して,名詞修飾のby句や-er派生語その他の用例を検索した。日本語についてはパソコンのOCRによって用例収集を行ったが,読み取り精度が十分でなく,当初予想したほどの成果には達しなかった。 理論の基礎研究に関しては,筆者の語彙概念構造(Lexical Conceptual Structure)による動詞分析を進めるのと並行して,James Pustejovskyの生成レキシコン理論による特質構造(Qualiastructure)を名詞の辞書表記として利用し,動詞と名詞の分析を統合する方向性を探った。1.「位置と状態-open/shutの概念構造-」(『人文論究』第48巻2号)では,位置変化と状態変化が語彙概念構造において同一のものとして表示され,open/shutという形容詞は位置の意味と状態の意味の多義性を持つことを示した.2.「作者と作品」(『英米文学』第43巻2号)では,英語のa novel by Hemingwayや日本語の「一流シェフによるフランス料理」のような,名詞を修飾する動作主表現の解釈を取り上げ,英語のbyが特質構造で処理できるのに対して日本語の「による」の分析には概念構造が必要であることを論じた。3.「動作主名詞の特質構造と概念構造」(第4回形態論レキシコンフォーラム,口頭発表)では,英語の-erや日本語の「-者,-家,-手」などの接辞を伴う動作主名詞の意味と統語的性質を統一的に説明するために語彙概念構造と特質構造の両方が必要であることを示した。
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Research Products
(2 results)