1998 Fiscal Year Annual Research Report
結合企業における子会社の再編成に係る親会社株主の保護に関する研究
Project/Area Number |
10620030
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
遠藤 美光 千葉大学, 法経学部, 教授 (10152026)
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Keywords | 親会社 / 子会社 / 再編成 / 持株会社 / 企業結合 / 株主 / 株式交換 / 営業譲渡 |
Research Abstract |
1. 本研究は2年間で実施する研究であり、今年度(平成10年度)はその初年度であるため、本報告は中間報告である。今年度では、主に以下の2点を考察・分析した。第1は、傘下子会社株式の売却および株式取得による子会社化の際における親会社株主の保護に関する研究であり、第2は、株式交換制度の立法化の検討である。 2. 研究進行過程で、双方の論点(特に後者)について、平成10年7月8日付けで法務省民事局参事官室から「意見照会」がなされた。これに対して、千葉大学民事法研究会として、意見を示した(同意見の文責は遠藤にある。当該意見は、別冊商事法務211号(平成10年11月刊)121頁-124頁に公表されている)。 3. 株式交換制度については、今国会に商法改正法(案)が上程され、法制化される見込みとなっている。同法(案)では、当該制度を基本的に合併に類似する組織法的行為として位置づけており、上記意見と同一である。平成11年度の本研究では、同法(案)の内容を、親会社株主保護の観点から引き続き、解釈論として考察・検討する。 4. 第1の論点である、傘下子会社株式の売却および株式取得による子会社化の際における親会社株主の保護(親会社株主総会特別決議の法制化)の点については、上記商法改正法(案)には盛り込まれていない。上記法務省「意見照会」に対する各界意見の分析によれば、経済界の圧倒的多数が反対意見を述べたことを指摘しており、それを反映するものと考えられる。その主たる理由は、グループ経営のメリットである機動性を阻害する点にあるといわれる。しかし、機動性を阻害せず、親会社株主の利益を保護する方策を模索することが必要である。営業の重要な一部譲渡の場合にも、株主総会の特別決議を要するとしている商法245条1項1号との整合性を図ることが肝要と考える。平成11年度では、この点の究明に重点をおくことにする。
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