2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10620041
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
甘利 公人 上智大学, 法学部, 教授 (60167963)
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Keywords | 賠償責任保険 |
Research Abstract |
本研究は、日本の賠償責任保険の法律上の諸問題について、アメリカ合衆国等の諸外国の賠償責任保険の判例・学説を比較検討したうえで、日本の賠償責任保険の基礎理論を体系化するのが目的である。日本の賠償責任保険は戦後アメリカ合衆国の賠償責任保険を導入したものである。しかし、アメリカ合衆国の賠償責任制度が日本のそれと相当異なるにもかかわらず、そのまま日本に導入したことによる弊害が長年にわたって顕在化してきている。そこで、本研究は、日本の賠償責任保険制度の母法となっているアメリカ合衆国での議論を参酌して、比較法的に検討・考察したうえで、日本の賠償責任保険制度がどうあるべきかを検討し、その基礎理論を体系化するのが目的である。 平成13年度は、これまでの研究成果を体系的にまとめることに主眼をおいた。また、昨年度税理士賠償責任保険の免責条項について相次いで裁判例が公表され、そこでは、「本来納付すべき税額」が本保険の性質から免責となっていたのであるが、この解釈をめぐって下級審の裁判例ではあるが、判断が分かれるという状態である。この判断が分かれた原因は、税理士賠責における税理士の責任とは何か、またその責任を保険で填補することが許されるのかどうかという賠償責任保険に共通の問題である。したがって、このような賠償責任保険の根本的な問題は、早くも我が国において顕在化してきたと言わざるを得ない。そこで、日本の賠償責任保険における免責条項の意義とその問題点を分類整理したうえで体系化し論点を整理することにした。近日中に問題点を整理したものを論文としてまとめた上で公表する予定である。ただ理論的な分析については引き続き検討を行っている最中である。
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