1999 Fiscal Year Annual Research Report
イラン:ポスト・ホメイニー体制の権力構造と宗教政治の変容
Project/Area Number |
10620075
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
宮田 律 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (20200181)
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Keywords | 保守派 / 現実派 / ポスト・ホメイニー体制 / 権力構造 / 宗教政治 / 護憲評議会 / 革命防衛軍 / 改革勢力 |
Research Abstract |
平成11年度は、インターネットやまた東京の研究機関・大学等において「ポスト・ホメイニー体制の権力構造と宗教政治の変容」に関わる情報の蒐集を行った。資料・情報蒐集の力点は、「保守派」・「現実派」の宗教指導部の権力基盤や、それぞれの内政・外交上のイデオロギーや活動の比較検討、また支持勢力の問題、さらに反体制勢力の動向などを解明し、体制の安定度やその発展の見通しなどの問題を解明した。 イランでは、2000年2月に総選挙が実施されたが、79年革命後の混乱やイラン・イラク戦争などの過程で権威主義的支配によって大衆動員が図られた頃とは違って、改革を唱えるハタミ大統領の下で自由化が明かに進展するようになった。選挙で、保守派はテへラン選挙区で一議席も獲得できないなど惨敗を喫したが、しかしハメネイ最高指導者を頂点として護憲評議会、革命防衛軍、警察を支配するなどイランの権力中枢を依然として掌握し、またバザール商人など経済界の支持を得ている。護憲評議会は、改革勢力が優勢となった議会が立法を行ってもそれに拒否権を行使することができ、最高指導者は護憲評議会のメンバー12人のうち6名や、また司法長官、さらに正規軍や革命防衛軍の司令官を任命できる。ハメネイ最高指導者がその任にある限りこれらの機関の保守派支配は容易に崩れそうになく、イランの宗教政治は、改革勢カが総選挙で躍進しても、保守派・改革派のせめぎ合いによる権力構造が当面続くことは明らかである。 また、イランの対周辺諸国外交が内政に及ぼす影響も考察したが、その成果は『中央アジア資源戦略』(時事通信社、1999年9月)にまとめた。平成11年度もインターネットによる情報蒐集、情報の整理についてアルバイトを活用した。
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Research Products
(1 results)