2001 Fiscal Year Annual Research Report
チリ軍の政治化と民主主義の崩壊(1964〜1973年)
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10620079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大串 和雄 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90211101)
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Keywords | チリ / 政軍関係 / クーデター |
Research Abstract |
今年度は、1964〜1970年のフレイ政権期における政軍関係を中心に研究を進めた。 フレイ政権末期には政軍関係の摩擦が顕在化し、1969年には首都サンティアゴのタクナ連隊が反乱事件を起こした。「タクナッソ」と呼ばれるこの事件以外にも、陸軍の若手将校による反乱未遂事件が起こっている。これらの事件の動機は政治的なものではなく、軍人の低い給与や施設・装備・備品の不足など物質面の不満と、そのような状態を放置している陸軍首脳部への不満によるものであった。それは一連の事件に関する通説的解釈であるし、またタクナッソ首謀者が当時出した声明や当事者とのインタビューからも明らかであるように思われる。しかし興味深いことに、当時これらの行動によって退役させられた若手将校の中には、後に右翼(反共)政治運動に身を投じた者がかなりいたことである。物質的不満による抗議行動がアジェンデ政権登場当時の社会的文脈の中でイデオロギー的政治行動に転化していったのか、あるいはフレイ政権当時から物質的不満とともに右翼的イデオロギーを強く持っていたのか、もし後者だとしたらそれは1960年代末の諸事件にも影響を与えていたのかどうか、これらの点について残念ながら明確な結論に至ることはできなかった。 今後は、4年間の研究期間にできなかったことを詰めて、1年以内に研究成果報告書にまとめる予定である。
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