1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10630026
|
Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
小林 好宏 札幌大学, 経営学部, 教授 (50000683)
|
Keywords | 事故の社会的費用 / 予防費用 / 便益と費用 / 交通事故 / 自然災害 / 費用最小化 / 犯罪の抑止 / 予防効果 |
Research Abstract |
事故による社会的損失を最小化する問題を、理論と実証の両面から研究した。まず第1に理論的分析の枠組を、事故の類型ごとに定式化した。事故としては自然災害、公害、製品欠陥、犯罪、交通事故をとりあげ、理論モデルの共通点、相違点を明らかにした。理論モデルとして費用最小化アプローチと効用最大化アプローチの二つが考えられる。事故の社会的費用は、事故そのものによる損害額、予防費用、事故処理費用から成る。費用最小化アプローチは社会的費用の最小化をはかるものである。効用最大化アプローチは、効用あるいは純便益と社会的費用との差である純効用あるいは純便益を最大化するもので、通常の経済学の手法は後者である。重要な政策変数は予防費である。予防費は一方で社会的費用を増大させるが、他方で事故件数を減少させ、結果として社会的費用を減少させる。そこで社会的費用を最小化させる最適な予防水準を見出すことが課題となる。まず、交通事故に関して費用最小化アプローチを用い、最適解をもたらす条件を明らかにした。それは第1次接近である。 第2に、交通事故に関する長期データにもとづき、交通量、道路条件、平均速度等が事故にどのように影響するかを分析した。これについては英国における詳細な研究がある。これを参考にしながらわが国における交通事故の趨勢を第2次大戦後について把握した。事故の絶対量は増大しているが(高度成長期には特に)、交通量単位当たり事故件数は趨勢的に減少する。その要因を、クルマ社会への慣れ、予防装置等種々の角度から分析した。これらの成果は、2度に分けて発表される。次のステップは効用最大化アプローチによる理論分析と、それにもとづく実証、更に他の事故への応用である。
|
Research Products
(2 results)