1998 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア連邦における新労働力市場形成と労働政策-新予算システム形成と雇用創出政策-
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10630047
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
保坂 哲郎 高知大学, 人文学部, 教授 (20036594)
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Keywords | ロシア連邦 / 地域予算 / 地方予算 / 財政関係 / 財政連邦主義 / 収入割り当て / 支出区分 |
Research Abstract |
平成10年度の研究実施計画は、1992年度以降のロシア連邦の連邦(中央)政府・州・地区政府間の予算構造(歳入財源の割り当て、支出分担区分)の税制度改正点の分析を行うこと、また、該当する領域の連邦予算、州・地区政府予算の推移や、それに裏付けされた労働政策の特徴を明らかにすること、にあった。 まず、今期の前半で、1990年代のロシア中央政府と州・地方政府との予算関係の法制度的な構造分析をすすめ、それを「ユーラシア研究」23号(1999年4月)において論文「ロシア連邦と地方の予算法関係」として執筆した。その中では1995年の新しいロシアの「地方自治体法」、1997年の「自治体財政法」の性格分析を中心に行った。 さらに、日本におけるサハリン州財政分析の研究(荒井信雄)や、ロシアの中央政府から地方政府への財政移転を扱った田畑氏の研究等をふまえて、90年代のロシア中央政府からの財政移転はかなり大きな比重をしめており、「財政連邦主義」に基づく連邦国家というよりは、中央財政依存型の財政構造になっていることを示した。 次に、1998年7月に成立した新予算法典に関して、高知大学「高知論叢」第64号(1999年3月)において、論文「新予算法典におけるロシア連邦予算構造」として執筆した。その中で新予算法典の内容を詳細に分析した後、ロシアでは、「財政連邦主義」に向けて改革方向を示せず、地域(地方も含んだ)予算の独立性、その自己収入水準向上にむけての規定が欠落しており、全体として、財政収入割り当てのない財政支出区分になっている状況は改善できていない、とまとめた。
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Research Products
(2 results)