2000 Fiscal Year Annual Research Report
個人間の所得と資産の分配格差が、日本経済と家族に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
10630053
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
小沢 雅子 桜美林大学, 国際学部, 教授 (90194547)
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Keywords | 用途指定 / 電気・ガス・水道・下水 / 断熱 / バリヤフリー / 建ぺい率・容積率 / 自己資本比率 / 購買力 / 流動性 |
Research Abstract |
4年間の研究の3年目である今年度は、地域の労働市場、個人の資金調達方法、家族の形態と、所得と金融資産や実物資産における個人間格差との、それぞれの相関を、実地調査によって明確にすることに重点を置きました。実地調査の対象は、同じ行政区画内ながら、地域による経済格差とくに労働需給の差が著しい、北海道と青森県を選びました。この対象選択はまた、研究の最終年度(2001年度)に行う予定の、補助金が、所得と資産の個人間格差や家族の形態に与える影響を研究するのにも、有効と考えます。 今年度の研究によって得られた新たな知見は、以下の4点です。 1、バブル崩壊後の地方における労働需給の地域差は、(1)住宅インフラ整備の違い(帯広、札幌北区、手稲区、八戸の成功例)、(2)基幹産業の違い(造船依存度の高い函館と、食品加工流通への転化が著しい釧路など)、(3)補助金の金額と内容の違い(石狩新港、下北半島市町村など)に影響されるが、人口の流入に最も強い影響を与えるのは(1)住宅インフラ整備で、(2)産業振興や(3)補助金よりも効果が大きい。 2、地銀、信金信組、農協漁協などの地域金融機関の倒産・営業譲渡・合併は、金融資産の個人差に関する地域差に確かに正の影響を与えているが、金融資産の流動性の高さが勝るため、その影響はさほど大きくはない。コストを無視した金融機関救済は不要か。 3、バブル崩壊後、地方においても実物資産の時価は低下したが、(1)住宅インフラ整備を進める地域では、住宅地と住宅の高い流動性と、実物資産時価の安定あるいは微増が見られ、それが個人の購買力を安定させて、地域需要にプラスの影響を与えている。 4、(1)住宅インフラ整備を進める地域では、子供や老人を含む家族が再形成されているが、(2)産業振興や(3)補助金に頼る地域では、単身世帯が増えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小沢雅子: "日本の金融システム改革の方向性"桜美林大学産業研究所年報. 19号. 101-109 (2001)
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[Publications] 小沢雅子 他: "魅力ある業務核都市をめざして"Best Partner. 12巻8号. 10-24 (2000)
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[Publications] 小沢雅子 他: "桜美林大学産業研究所・北京師範大学経済学院2000年度学術交流報告集"桜美林大学産業研究所. 42 (2000)