2001 Fiscal Year Annual Research Report
個人間の所得と資産の分配格差の変化が、日本の経済と家族に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
10630053
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Research Institution | OBRIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小澤 雅子 桜美林大学, 国際学部, 教授 (90194547)
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Keywords | 住宅インクラ / 歩道 / セットバック / 駐停車 / バリヤフリー / 家族 / 民法 / 住民登録 |
Research Abstract |
今年度は、この研究の最終年度なので、これまでの研究をまとめるために、2件のケース・スタディをおこなって、残された仮説の検証と、これまでの知見の確認を行いました。この研究全体によって得られた知見は、以下の通りです。 1、まず、マクロ的研究による知見は、(1)高度成長期からバブル形成期までの上昇局面でも、バブル崩壊期以降の下降局面でも、フローの格差拡大よりも、実物資産の格差拡大が大きいこと。(2)バブル崩壊期以降の下降局面では、実物資産の格差よりも、金融純資産と金融負債の格差拡大が大きいこと。(3)フローの貯蓄性向には、フローの所得よりも、ストックである金融純資産と金融負債がおおきな影響を与えること。(4)80年代以降のバブル形成期とバブル崩壊期には、個人の所得と資産の格差に、強い地域差が見られ、70年代まで顕著であった日本経済の同質化傾向とは、逆のベクトルが、はっきり現れていること。の4点です。 2、1のマクロ的研究で得られた4つの知見のうち、特に(4)の分配構造における地域差拡大を最も注目すべき知見と考え、ケース・スタディを重ねて、その要因分析を行いました。その結果、(1)地方への資金流入は、60年代以降常に国からの補助金が主であったが、80年代以降は、補助金とそれに伴う民間資金の流入規模に地域差が大きくなったこと。しかし、(2)補助金の大小と、その地域の個人所得や個人資産との間には、必ずしも正の相関が見られないこと。(3)地域における個人所得や個人資産や購買力に影響を与えるのは、住宅インフラの整備状況と住宅資産の流動性の高さであること。(4)住宅インフラの整備状況と住宅資産の流動性の高さは、子供や老人を含む家族形成にも影響を与えること。の4つの知見を得ました。
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Research Products
(2 results)