1998 Fiscal Year Annual Research Report
ディスクロージャーを基礎とした銀行経営におけるコーポレート・ガバナンスの研究
Project/Area Number |
10630124
|
Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
櫻田 照雄 阪南大学, 流通学部, 助教授 (40222004)
|
Keywords | 銀行 / 銀行経営 / 銀行監督 / リスク管理 / 自己責任原則 / 銀行行政 / 金融監督庁 |
Research Abstract |
今年度は,先行する研究成果を踏まえた事実の収集・整理に研究の重点を置いた。リスクの属性や管理可能性の程度といった指標にもとづいて,デリバティブ取引を類型化し,既存の会計実務・会計理論あるいは銀行経営論との整合性を検証するとともに,解決すべき課題を具体的に確定するための前提だと私には思われたからである。 とりわけ,今年度においては,過去の研究によって収集された資料に加えて,海外のデータベースの活用と,それらの資料をもとに,研究用データベースの構築を行った。具体的には,アメリカや日本の銀行監督当局がインターネットを通じて公開している公文書を中心に,各種新聞雑誌記事なども合わせて,市販のデータベース・ソフト(ヨーテック・コーポレーション社のサーチャー夫人)への入力作業を進め,10,000件程度のデータベースを構築した。 わが国では昨年から金融監督庁による銀行監督が本格化し,同庁より提供された資料(銀行内部監督マニュアル)の検討も合わせて行った。その際には,先に述べたデータ・ベースだけでなく,日経テレコムなども活用したのであるが,日米間での銀行監督手法の相違などについて,論点の整理を行ううえで,このデータ・ベースによって,研究効率を著しく高めることができた。いまだ確定的な成果と言うべきではないが,行政責任と経営責任の峻別という点で,とりわけわが国の銀行経営者の間には,アメリカの銀行経営者とは違って,銀行経営における自己責任原則が明瞭に意識されているとは言いがたい状況がみられるようである。 来年度は,データ・ベースの充実とともに,この点について経済・法システムにおける彼我の相違を解明していきたいと考えている。
|