1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640028
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
古澤 昌秋 大阪市立大学, 理学部, 教授 (50294525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 洋平 大阪市立大学, 理学部, 助手 (70264794)
今吉 洋一 大阪市立大学, 理学部, 教授 (30091656)
釜江 哲郎 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047258)
望月 拓郎 大阪市立大学, 理学部, 助手 (10315971)
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Keywords | ジーゲル保型形式 / エル函数の特殊値 / 保型形式の持ち上げ / クルスターマン和 |
Research Abstract |
本研究の主目標は、次数2のジーゲル固有尖点形式のスピノル・エル函数と呼ばれる次数4のオイラー積によって定義されるエル函数について、その函数等式の中心における値の相対跡公式による研究を推進することであった。この手法においては、基本補題と呼ばれるヘッケ環の単位元に関する軌道積分の等式の証明がまず最初に行われなければならない。また基本補題は相対跡公式を証明するにあたって克服しなければならない最も難しいステップの一つであることは専門家の間で周知の事実である。その一方、基本補題は相対跡公式が成立することの非常に強力な根拠であることも良く知られている。本研究の場合において、ふたつの、関連してはいるが異なる相対跡公式が成立すると我々は予想している。我々はその両方の場合について基本補題を証明することに成功した。一方は中心指標が自明の場合であり、もう一方は中心指標が非自明な場合を含み、ジーゲル保型形式の二次拡大体上の保型形式への持ち上げにも関連している。証明は各軌道積分を具体的に計算し二次の対称行列を変数とする一般化されたクルスターマン和で表示し、最終的にはこの一般化されたクルスターマン和を古典クルスターマン和で表示することによって得られた。行列変数クルスターマン和は、ジーゲル・モジュラー群に関するポアンカレ級数のフーリエ係数に表れるものの特殊な場合に相当することも確認した。基本補題の証明によって、予想する相対跡公式の成立について、我々は確信を持つにいたった跡公式から得られると考えられるエル函数の特殊値の表示には、高階数の保型形式にのみ現れる新しい現象の反映を見出すことができ、今後の研究に示唆を与えると考えている。
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Research Products
(1 results)