1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640175
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
坂口 茂 愛媛大学, 理学部, 助教授 (50215620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 重則 愛媛大学, 理学部, 助教授 (10253296)
森本 宏明 愛媛大学, 理学部, 教授 (80166438)
内藤 学 愛媛大学, 理学部, 教授 (00106791)
橋本 貴宏 愛媛大学, 理学部, 助手 (60291499)
神保 秀一 北海道大学, 理学研究科, 教授 (80201565)
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Keywords | 熱方程式 / 等温面 / 初期境界値問題 / ノイマン境界条件 / ポーラスメディアム方程式 / 拡散方程式 / リプシッツ領域 |
Research Abstract |
熱方程式の解の動かぬ空間臨界点と関連して、解の不変な等温面を調べることが研究目的の1つであったが、これに関して得られた成果を以下に報告する。 ユークリッド空間内の有界Lipschitz領域上で熱方程式の初期境界値問題を斉次Neumann境界条件下で考えて、等温面の族が図形全体として時刻について不変な解の精密な分類を与えた。斉次Dirichlet境界条件下での分類はAlessandrini(Applicable Anal.40(1991),251-261)により、そのような解は、変数分離型の解であるか、領域が球であって解は空間変数について回転対称であるかのどちらかであることが知られている。しかし、Alessandriniの証明の方法は、斉次Neumann境界条件下では使えない。本研究では、上記の等温面の族の不変性をフルに使ってLevi-Civita(Atti Accad.naz.Lincei.Rend.Cl.Sci.Fis.Mat.Natur.26(1937),355-362)とSegre(Atti Accad.naz.Lincei.Rend.Cl.Sci.Fis.Mat.Natur.27(1938),203-207)によるユークリツド空間内のisoparametric hypersurfacesの分類定理を利用することにより分類定理が得られた。定理の証明において、考える領域の境界を決定する際、境界を表す関数を斉次Neumann境界条件に起因する1階準線形偏微分方程式のLipschitz連続な解とみなすことが重要であった。また、特性曲線の方法によってこの1階準線形偏微分方程式の1回連続微分可能な解を求めることは一般的であるが、Lipschitz連続な解を求めるのは、特殊である。本研究では、特性曲線がある特殊な直線であるという事実を利用して、一意的なLipschitz連続解を特性曲線の方法によって求めることに成功した。 さらに本研究の方法は今まで扱えなかった非線形の拡散方程式にも応用できて、たとえば、多孔質媒質中のガスの拡散現象を記述するporous medium方程式の初期境界値問題の等位面たちが時刻について不変な解の同様な分類定理を与える。
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