1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640365
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
佐藤 信一 静岡大学, 理学部, 助教授 (30196240)
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Keywords | 自己アファイン / エントロピー / フラクタル / 力学系 |
Research Abstract |
Edenモデル、拡散律速凝集モデルのように成長界面の成長確率分布を与えて粒子を凝集させることによって成長するパターンのモデルは、樹枝状結晶や金属葉のようなフラクタル的パターン、浸透、腐食等で生ずる自己アファイン的な界面を研究する上で中心的役割を果たしてきた。しかし、確率的に成長するパターンの選択機構と安定性に関する研究はほとんどなされてこなかった。この問題を研究するために、主として2次元Edenモデルについて無数の可能なパターンの中からランダムに選んだものを初期条件として成長させて、どのように定常成長状態へ遷移するかについて計算機シュミレーションを行った。成長径路に関するアンサンブル平均を用いて与えられた初期状態からの最も確からしい成長径路を定義して種々の初期条件に関して成長径路を調べたところ、最も確からしい成長径路は少数自由度の力学系によって実効的に記述できることが判明した。周期的境界条件を課したEdenモデルでは定常的成長状態が力学系の固定点に対応し、固定点における最大固有値は中立安定の臨界値に近いため固定点への収束が遅い。このことは、定常的成長状態のゆらぎが大きく自己アファイン的な成長界面になっていることや、マルチフラクタル理論に基づいた成長径路の観測確率のエントロピー・スペクトラムにおける相転移が存在することに対応している。平均された成長径路に付随した力学系を導入したことにより、確率過程を伴う成長モデルのパターン選択機構と安定性を定量的に議論することが可能となり、成長モデルによって作り出される自己アファイン的界面の動力学に対する理解が進展した。
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