1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640376
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮川 賢治 福岡大学, 理学部, 教授 (30037296)
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Keywords | 非平衡 / ゲル / BZ対応 / 自己組織化 |
Research Abstract |
活性機能としてベルーゾフ・ジャボチンスキー(BZ)反応の触媒分子 Ru(bpy)_3(ルテニウム錯体)をイソプロピルアクリルアミドゲル(NIPA)に組み込み,ゲル本来の体積相転移挙動と化学振動の絡み合いによって周期的な体積振動をするゲルを創製した。このようなゲルでは,化学反応がゲルの体積振動を誘起するだけでなく,逆にゲルの構造変化が化学反応に影響を与える。そこで温度によって膨潤一収縮転移を起こす NIPAゲルの性質を利用して、反応場としてのゲルの温度特性が化学波に如何に影響するかを調べた。本研究のゲルは、29℃付近(T_C)で急激な収縮を示した。酸化波の周波数は,温度上昇に伴って,アレニウス型の温度依存性を示したが,T_Cを境にして急激な減少した。また酸化波の速度も温度上昇とともに漸進的に増加し,T_Cを境にして急激な減少した。速度変化を HBrO_2(BZ反応の自己触媒種)の拡散係数Dの変化として捉え,ゲル綱目中の分子拡散の理論を用いて解析した。結果,T_C以下の膨潤領域の拡散は,D=D_0exp(-R/ζ)のように表されることが分かった。ここで,D_0は溶液中での拡散係数,Rは分子の大きさ,ζは網目の大きさである。一方,T_C 以下の拡散は,この式に従わない。これは網目の収縮が,単にHBrO_2の拡散を阻害するだけでなく,ゲル内外の反応物濃度の差やゲル中に反応物濃度分布を誘起することによるものと考えられる。また,T_C付近では拡散係数に小さな増大が見られた。これは,網目密度の臨界揺動と関連している可能性があり,現在検討中である。ゲルが熱平衡に達しているか否かによって,化学振動と体積振動の位相差が180°異なることが分かった。これは酸化領域が膨潤領域となって伝搬していることで説明された。これらの結果はPhys.Rev.Eに投稿中である。
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[Publications] Kenji Miyakawa: "Entrainment in coupled salt-water oscillators"Physica D. 127. 177-186 (1999)
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[Publications] Tohru Watanabe: "Coacervation and Self-Assembly of Polypeptid Derived from Elastin:Effects of Metal Cations"Peptide Science. 1998. 447-480 (1999)
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[Publications] Kozue Kaibara: "Liquid-Liquid Phase Separation of Elastomeric Protein-Water System-Microscopic Observations and Light Scattering Measurements-"Biopolymers. (発表予定). (2000)