1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640440
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
宮田 雄一郎 山口大学, 理学部, 助教授 (60253134)
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Keywords | ひずみ速度 / 泥質堆積物 / 地震 / 進行性破壊 / ベイン構造 / 再来周期 / 西岬層 / 震源 |
Research Abstract |
高速せん断(ひずみ速度10^0s^<-1>)による変形・破壊実験によると,見かけの強度が高いにも関わらず,巨視的にはダクタイルに変形し,せん断面角が45°に近づいた.この原因は進行性破壊および間隙流体の粘性抵抗にあると考えられ,とくに高速な領域では後者が顕在化することが示された.このことは,せん断面角がひずみ速度の指示者となりうることを示している. せん断方位が繰り返し反転する場合の破壊様式を実験的に検討したところ,高間隙比の泥質堆積物はせん断ひずみが数%以下でも破壊し,等間隔に平行配列した独特なせん断割れ目群が形成された.これは従来から付加体泥質岩に知られているベイン構造と幾何学的に同等のものである.せん断方位の繰り返し反転が,天然では地震動しか考えられないこと,ベイン構造が活動的プレート縁辺にみられることから,ベイン構造を"地震の示準化石"として利用できることが期待される.いっぽうで,ベインと直交してほぼ層理に平行なせん断面がしばしば伴われる.ベイン構造との関係および高速変形による共役系の直交傾向からみて,このせん断面も同時に形成された可能性が高い.それらの変位量は様々で,せん断方位の繰り返し反転との関係が課題となった. 房総半島中新統の西岬層には,多数のベイン構造がみられる.調査の結果,層厚100mほどの半遠洋性泥岩層に500層準ほどが確認された.堆積面とベイン形成深度の関係が与えられれば,それらの層序分布から地震発生の時間間隔が抽出できることになる.歴史上の地震記録から推定された再来周期では得られない長期予測の可能性が期待できる.同時に,ベイン構造の面方位はせん断方位を示しているから,震源の識別も可能である.
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