1998 Fiscal Year Annual Research Report
汽水域における渦鞭毛藻群集の遷移メカニズム -古生態学への応用に向けて-
Project/Area Number |
10640454
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 夏彦 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (90288754)
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Keywords | 渦鞭毛藻 / シスト / 中海 / 汽水湖 / 植物プランクトン / 発芽実験 / 無殻渦鞭毛藻 / ブルーム |
Research Abstract |
中海での渦鞭毛藻調査ため1998年8月より本格的なフィールド調査を開始した.島根県内水面水産試験場の定期調査に毎回参加し,1998年8月から1999年2月まで毎月中海に設定されている5定点でTFO式コアサンプラーおよびエックマンバージを用いて底質を採泥した.同時にバンドン採水器で表層水と底層水を採取した.採泥サンプルは表層2cmのみを取り分け冷蔵し,新年度に発芽実験で利用する予定である.また渦鞭毛藻シストの計数を毎回行っている.採水サンプルについては500CCをグルタールアルデヒドで固定し,250ccを生サンプルのまま研究室に持ち帰った.固定サンプルは濃縮後逐次植物プランクトン群集を明らかにし,渦鞭毛藻グループを取り巻く他の分類群の一次生産者の状況を分析している.生サンプルは採水後24時間以内に検鏡し,主として無殻渦鞭毛藻の産出状況のデータを収集している.一方,3カ月に1度は中海に設定した10測点について上記の月例調査と同じ内容で精査を行っている.1998年度は9,12月に実施し,1999年3月も予定している. 以上が1999年2月までの調査概要である.渦鞭毛藻やその他の植物プランクトン群集の1年を通じての変動特性等は調査開始後まだ7カ月ということで詳細はまだ明らかではない.しかしながら,中海の渦鞭毛藻では無殻渦鞭毛藻が量的にも種類的にも大きな位置を占めていることが具体的なデータとして明らかになったし,Gyrodinium impudicumのように今まであまり国内で報告のない種がブルームに近い形にまで増殖していたといった新しい知見が数多く見られている.
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